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「ちょっとだけ借りていい?」


「うん」


 アタシはモバイルをそうちゃんに渡した。


 お蕎麦屋さんの座布団の上で、みんな寛いで幸子さちこの歌に聴き入っていた。


 コール音。


「……どうした、ほっしー」


 そうちゃんに渡したモバイルから、かすかにジュンの声がする。


「乗れよ」


雨沢あまさわ!?」


「こ……断ったはずだ」


「まあね。今回は鑑原かがみばらチームが居れば足りるミッションだ」


「それに雨沢あまさわが元々ハイドロレイダーチームだろ」


「……そうだな。純之助じゅんのすけである必要はない」


「ちょ!そうちゃん!!」


「……譲るのか」


「……何をだ?」


「どんなことでも、自分でなきゃいけない明確な理由は無い」


 ……麦茶が……いやに冷たい。……そうかもしれないけど……。


「そんなことないよ!」


 シュウジがそうちゃんのモバイルを掴んだ。


「今、ジュン君だよね?……そんなこと全然ないよ!確かにそうちゃんと乗るのも凄いんだけど……ジュン君が必要だよ!」


そうちゃん、言い過ぎっていうか……来てよジュン」


 ごめん。そうちゃんが耳元で呟く。アタシに謝られても!


「ほっしー。雨沢あまさわに代わってくれ」


「え、うん……」


「うん……そうだ。……わかった」


 モバイルから、ジュンの声が聞こえない。


「みっちゃん、ありがと」


 モバイルを受取る。


「来るって。アイツ」

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