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薄明はくめいの光が白炎びゃくえんとなる……ジュン君!実華みか!!!」


 届くかもしれない——


 灰色の圧力に足を取られても、出来ることがあるかもしれない——


「シュウジ!!!」

「OKそうちゃん!……ジュン君!実華みか!!!」


「お、おぉ」


 砂に足を取られながら、水素針すいそしんを構える。


 この状況を、どうにか出来るなんて思えない。


「……それでも」


「ほっしぃちゃん!」


「やっと来たか!ジュン!!」


「アタシの……」

「我の!!」

「俺の!」


「「「力を光に変えて!」」」


 大丈夫……


「「「降り注げ、ディストレス!」」」


 声が……


「「「バーキング!!!」」」


 光に変わる!!!


「「「アロー!!!」」」


「スカーレットブレイズ!」

「スリーピングマリス!!!」

「なんか凄い力出ろ!!……っえ!?」


 激しい光が、レインボーブリッジを消滅させていく。


 そこにある疑念も。


 からすたちは眠るように、光の中に溶けていった。


 体が、熱を放っていた。


 目眩がするほど高まった鼓動は、目の前の世界を滲ませた……——


「やった……」


 抉られた砂浜も再生を始め、ビーチサイドに植えられた木も、美しい椰子も。


 生温い風が吹き抜けても、体温より暑い空気は収まる気配が無い。


「消されたか……」


 黒い瞳が、勝利に湧く四機のレイダーを見つめていた。

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