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「神殿……?」
古代ギリシャの神殿の残骸のような遺跡が、灰色の海の中横たわっていた。
崩れかけた石柱に触れると、バラバラと崩れ、砂煙が海を舞う。
「モードを切り替える」
ジュンがコックピットモニターを切り替えた。
「嘘っ」
一面の、
敵の気配は——
「サブローさん、どうしますか?」
東京湾に横たわる壊れかけた遺跡から湧いて出る、まるで呪いのような光景に、アタシたちは声を失っていた。
「映像を——……総員、離脱ボタンに手をかけて、各自記録を……無理は……しないでほしい」
「りょーかい!怖ぇ〜!肝試しだなこりゃ」
リイヤの明るい声が、緊張感を少し和ませる。
「やってみるしかないね」
リディアのホワイトドラゴンが遺跡を少しずつ崩し進んでいく。
「さ、我たちもやるぞ」
「……うん」
アタシは精一杯周囲を警戒した。
油断してはいけない。
目の前の不安にかかりきりになって、重要なことを見失った時、アタシは必ず痛みを抱える。
アタシが出来ることは、いち早く危険を察知すること。
誰一人、酷い目に合わせやしない。
「我たちは人型になった方がいいな」
ファントムとフィンヨンは尻尾で神殿を開いていくことが出来るけど、
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