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「えっ暗っ!」
高い空から広がる陽光を押し返すくらいにどんよりなアタシを見て、開口一番ショーコがそう言った。
ショーコのむぎ茶のペットボトルが汗を書いていて、電信柱の上のほうで、蝉が鳴いている。
「
みんなアタシから離れていってしまう。
アタシは変わらないままだ。中身も、身長も。
「伸びたけど……」
ガードレールから降りて、ショーコはスカートの裾を払った。
緑のガーベラのトングサンダルも、可愛い。
「まぁ、いこっか」
会うのは、春休みぶりだ。
会いたかったけど、誘えなかった。
ショーコはいつも何かを頑張ってるし、ショーコもどこかで頑張ってる。
どこかでそう思って、目の前のことを必死に頑張っていたけど、……ほんとは会いたかった。
でも、勇気を出して誘ってみようとした時……ショーコからメッセージが届いた。
——ほっしぃ元気?
モバイルを落としかけて……
「……元気じゃないよ……」
そういいながら文字を打つ。
——どうだろ?笑 いつもの感じかなー ねー水族館いく!?
アクエリアの水槽通路で、アタシはショーコを思い出していた。
——いいね!行こっか
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