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 ピンポー……ン……——


 ショーコの家のインターホンが鳴る。



 何度聞いた音だろうか。しばらくすると、二階のキッチンからショーコの足音がパタパタと鳴る。



「すいません、どちらさ……ぎょっ!!ほっしぃ!?」


「生きてた……!!!」


 目が熱くなる……


 飛び込んだショーコの体からは、命の鼓動がちゃんと聴こえた。


「何なに!?サッチーとシュージ君!?えっ何!?ってここ、……高尾山!?」


 鼓動を速めながらも、ショーコはアタシの腕をさすりながら推理する。驚いた時のショーコはいつもそうだった。


「何なに!?ほっしぃ怪我した!?えっ何?さっき二人帰ったよね?」


「……大丈夫……。帰ろう、ショーコ」


あね、一旦中に入ったほうがいいかもよ、良くない感じがする」


「よく分かんないけど……お、お茶淹れるよ」


 わなわなしながらも、ショーコはいつも通りに美味しい紅茶を淹れてくれた。


 アールグレイの香りに、だんだんと心が落ち着いて来る。


「シュウジ君、鍵閉めたよね」


「閉めました。たぶん、この中は本次元と強くリンクしてるからかもしれませんが、ディストレスが干渉しにくい空間なのかもしれません……でも……まぁ、かなり頑張って登って来たし、少し休憩しましょう」


「そうだね☆☆☆」

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