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 猿がいるなら、イノシシもいるだろう。


 巨大猪イノシシは、HyLAハイラの円盤のアローを一斉に受けているみたいだ。

 うん、ぜんぜん気にしてない様子。


 え?これって……死ぬ?


実華みか!!!」


「ごめん……シュウジ。あああぁぁぁぁ!!!!!!」


 機体がイノシシに引っ張られて引きずられて行く。


実華みか!!!」


 ごめんシュウジ。

 円盤は無視してほしい。何があっても。

 そう言われていた。でも。


「いいよ!実華みか!一瞬痛いよ!?備えて!」

「え……っっっっ!!!!!!!」


 右腕に、千切られるような痛みが走った。


「バーキングアロー!!!!」


 シュウジの叫び声が聞こえる。

 イノシシの悲鳴が聞こえた気がした。


実華みか!左手!引いて!!!!!!!」


 右腕が動かない。

「左……手……?」


 涙が出そうだった。


 みんな……死ぬの?かえでも、シュウジも、母も、ショーコも。

 地球も、全部。


実華みか!!!!」


 いいわけない。いいわけ……ないッ!


 アタシは左手を引いた。

 何度も合わせた台詞セリフ


「「薄明はくめいの光が白炎びゃくえんとなる」」


「俺の」

「私の」


「「力を光に変えて」」


「「降り注げ!!」」


(消えて……!)


「「ディストレス!!!」」


「「バーキング!!!!!!!!」」


「「アローー------!!!!!!!!!!!!」」


 アタシの意識は消失した。


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