141# 《第二の魔王》と《怠惰の魔王》
スイレンとヴァルムの戦闘——その決着後。
ヴァルム、アンネゲルト、リルカ、アベルの四名は、近くで待機していた飛空艇に乗り込み、完全な崩壊が始まったダンジョンを後にした。
ダンジョンの魔物を用いて《機獣》の大群を抑える——その作戦が頓挫した時点で、作戦は次の段階に移行している。
作戦の頓挫を悔やむ暇は無い。
飛空艇を最高速で飛ばし、ある場所へ向かう。
道中でオーガスを拾い、目指すは国境山脈——受肉した《魔王》と単独で戦う、レイモンドの元へ。
リルカが持つ呪文の束には、作戦遂行の上で想定される事態への対策や動きなどがびっしりと書かれていた。
勤勉なローファスらしい、文字通り緻密に詰め込まれた計画。
リルカからすれば、それらを全て読み込んで把握する事の方が骨であったが。
しかし、あらゆる想定がなされ、対策や道筋が何通りも用意された作戦だが、その全ては一つに収束する。
それはオーガス、アンネゲルト、ヴァルム、リルカ、アベル——この五名で《魔王》とレイモンドの戦いに参戦し、全勢力でもって《魔王》を打ち倒す事。
そして仮に倒せずとも、
レイモンドだけで《魔王》が倒せるという想定は、最初から最後までされていなかった——《魔王》を
レイモンドに与えられた役割は、他の面々が帝国軍や《機獣》の横槍が入らぬ様、排除するまでの足止め。
ローファスは最初から、《魔王》には全勢力で当てる腹積りであった。
しかしそんな中で、アンネゲルトはフォルをローファスの元へと行かせた。
それはフォルが行きたそうにしている事に気付いたから、というのも勿論あるが、ローファスより渡された呪文束の中に、フォルとカルデラの役割が一切書かれていなかったからである。
ローファスが立てた、緻密に練られた作戦——にも関わらず、不自然な程にフォルとカルデラの名前が出てこない。
その意図が、アンネゲルトには分からなかった。
特定の役割を与えず、遊撃に当たらせるならばそう書けば良いのに、それも無い。
故に、フォルとカルデラの好きにさせた。
恐らくはそうする事がローファスの望みなのだろうと、アンネゲルトはあたりをつけて。
或いはローファスは、フォルが自分の後を追い掛けて来る事を想定したのか、とアンネゲルトは推察する。
そして寧ろ、フォルが追い掛けて来る事を望んだのかも、とも。
事実は不明、ローファス本人に聞くしか確認の手立ては無い。
しかしアンネゲルトとしては、フォルが特別扱いされているかの様なこの現状に、少なからず思う所があるというもの。
ローファスとは友人関係、婚約の話は出ているというだけで、正式に決まった訳でもない。
しかしながら、口にするのが難しいもやもやとした感覚を、アンネゲルトは胸の奥底で抱いていた。
そしてそれは、呪文束の全容を把握しているリルカも同じ。
ふと、道中で僅かに視線が合うリルカとアンネゲルト。
言葉のやり取りは無いが、互いに近しい感情を抱いている事が感じられた。
分かり合えるとは断じて思わないが、このもやもやとした感覚——この一点だけは理解出来る、そんな気がした二人であった。
そして、そんな女性陣とは対照的に、オーガス、ヴァルム、アベルの男性陣はボロボロであった。
オーガスは全身血みどろの傷だらけ、ヴァルムも全身切り傷まみれの上左腕を失い、その傷口はフリューゲルが冷気で凍結して止血されている——因みに、当のフリューゲルは戦闘後に姿を消した。
アベルに至っては崩壊寸前、神の力でギリギリ生き永らえている状態。
その上で、これから相対する事になる相手は《魔王》だという。
それでも、皆一様にその目に一切の怯えは無く、戦意に満ちていた。
「…アベル。やる気出してるみたいだけど、絶対駄目だからね。マジで死ぬよ?」
「ヴァルム、貴方も左腕が無いのよ? オーガスも傷だらけだし…」
やる気に満ち溢れる男性陣に、女性陣が冷ややかな声で制止する。
オーガスはポーションにより血は止まっているものの、治りきっていない深い傷がある。
ヴァルムの左腕の欠損も、どれほど高級なポーションでも治す事は出来ない。
四肢の欠損や傷口の深い重傷は、高位の治癒魔法を受ける事でしか治せない。
そしてそれは、崩壊寸前のアベルも同様。
皆、当然無理が出来る状態ではない。
しかしやる気に満ち溢れる男性陣は反論する。
「僕は大丈夫だ! 無理せずに《魔王》を倒す…!」
「今の俺にはフリューゲルが居る。左腕の欠損程度、ハンデにもならん」
「《魔王》ってのは強ぇんだろ? 俺が全力で殴っても死なねぇ位。ならやらせろよ。こんな傷屁でもねぇ」
口々に自分はまだやれるとアピールする男性陣、それをアンネゲルトは、勢い良くヒールを踏み付けて黙らせる。
「黙りなさい。《魔王》の相手は私とその娘でするから、貴方達は大人しくしておいて。それとも、
見下す様に言うアンネゲルトに、場は静まり返った。
きっつーと思いつつ、リルカもうんうんと頷く。
「みんなは無理のない範囲で魔法とか撃っててくれたら良いからさ」
オーガスがおずおずと手を上げる。
「…俺、魔法使えねぇんだが」
「え…王都の魔法学園に通ってるのに…?」
びっくりした様に口を手で抑えるリルカに、オーガスは頭をがりがりと掻く。
「俺ぁ元々属性魔法の適正がねぇんだよ。《身体強化》専門だ」
「貴方は空気でも殴って拳圧でも飛ばしてなさい」
ぴしゃりとアンネゲルトに言われ、オーガスは肩を落とした。
ヴァルムが慰める様にオーガスの肩を叩く。
そんな一幕がありつつも、飛空艇は国境山脈へと差し掛かる。
アンネゲルトは楽観視していた。
相手が如何に古の《魔王》とはいえ、レイモンドが居るのだから問題無いと。
レイモンドへの全面的な信頼が、下手な安心感を抱かせていた。
ローファスが全勢力でもって対応しろ——そう指示した理由を本当の意味で理解するのは、もう間も無くの事である。
*
王国と帝国の間に広がる氷雪山脈は、恐ろしく広大である。
無数の山が列を成す様に盛り上がり、その中には頂上が雲に届くものもある。
そんな氷雪山脈に、円状にぽっかりと開いた巨大な穴——レイモンドが決戦兵器ジャバウォックとの戦闘時に放った古代魔法《陽墜しの明星》により作り出された異形の地形。
《魔王》スロウスとレイモンドが戦闘する場にもなったその巨大な穴は——もう存在していなかった。
穴、どころでは無い。
穴があった地点を中心に、周囲の山脈は消し飛び、更地と化していた。
そんな中で、魔人化したレイモンドは一人、戦闘を続けていた。
相対する《魔王》スロウス——飛膜を背に持つ巨大な蛇は、その巨体を当初とは比較にならない程により大きく成長させていた。
頭部にあったアマネの上半身は既に飲み込まれ、竜を思わせる巨大な頭がそこにあった。
レイモンドは内部にアマネがいると思われる頭部は狙わず、長い胴体をひたすらに攻撃していた。
しかしその傷は即座に塞がり、修復と同時にスロウスの巨体はより肥大化していく。
無限ともいえる程に溢れる魔力、そして再生限界も見えず、それどころか攻撃する度に巨大化を繰り返す。
これは確かに倒せない、とレイモンドは歯噛みしながら《魔王》スロウスとの攻防を繰り広げる。
倒す為の戦闘ではなく、スロウスの王国への侵攻を防ぐ為の時間稼ぎへとシフトする。
スロウスの力は凄まじく、長い胴をうねらせれば地形が抉れ、飛膜を羽ばたかせれば竜巻が起きる。
それは正しく、生きた天災。
その上、スロウスは遊んでいる様であった。
じっくりと嬲る様に、使える筈の魔法すら行使せず、大蛇の如き長い胴と飛膜——身体能力のみで戦っていた。
しかしそれでも、地形が大きく変わり、風は荒れ狂い天が荒れる。
当初こそ、再生するにしてもせめて魔力は削ろうと隙を突いて魔法を放っていたレイモンド。
しかしスロウスより感じる魔力の総量は減るどころか、寧ろレイモンドの攻撃により受けた傷が修復される度、魔力が増加している様にすら感じられた。
攻撃を受け、修復する度に魔力が増え、巨大化していく《魔王》。
これまでレイモンドが戦った中でも、最も理不尽かつ勝利のビジョンが浮かばない相手。
途中からは、まともなやり合いを避けて時間稼ぎする戦法へと移行していた。
しかしスロウスからすれば、そんなレイモンドの逃げ腰の戦法は退屈極まりない。
そしてスロウスは、遊びは終わりとばかりに魔法を行使する。
スロウスの身より、無数の光の球が滲む様に溢れ出す。
既視感のある光の球——昨晩この場で戦った
それは、異様ともいえる程に高密度の魔力の塊。
見た瞬間、レイモンドは直感的に理解する。
その魔法を、間違っても防護魔法で受けようなどと考えてはいけないと。
直後、無数の光の球は一斉に全方位へ放たれる。
圧倒的な範囲の殲滅攻撃——レイモンドはそれを、幾度も転移を繰り返して上空へと退避した。
雲に届く程の上空にまで来たレイモンドは、白翼を広げて地上を見下ろす。
『これが…古の《魔王》か』
レイモンドは戦慄し、額に冷や汗を浮かべる。
地上の山脈の大部分は、スロウスを中心に消し飛び、更地と化していた。
レイモンドは連戦に次ぐ連戦により、少なくない手傷を負っている。
魔力の消費も著しく、決して万全とはいえない状態。
しかし、仮に全開状態であったとしても、召喚魔法が封印されていなかったとしても——自分はこの《魔王》には勝てないだろう。
どう足掻いても、逆立ちしても勝ち筋は無い。
そもそもこの《魔王》は、一体なんなのか。
《魔王》という単語は、アマネを乗っ取った科学者と思しき者と、ローファスが作戦を記した呪文の束の中で出た言葉。
ローファスがそう言っているという事は、通称でもなんでもなく、正しく《魔王》なのだろう。
伝承では、《魔王》は六神が打ち倒し、封印されたというのが王国の通説である。
そしてその封印場所は、王国内にある。
それが何故、帝国で復活しているのか。
帝国軍が王国を訪れ、《魔王》の封印を解いた?
それでは王国で復活していない事の説明がつかない。
そもそも、王国の《魔王》が封印されている遺跡も、六神教会が厳重に管理する聖域であり、帝国軍が侵入すれば大事になるだろう。
ふとレイモンドは、帝国に訪れる前に光の蝶が囁いていた事を思い出す。
大陸内に断片的に存在する翡翠の魔力反応——中でも大きなものは、帝国と聖竜国に一つずつ。
もしこれが、太古に封印された《魔王》を示すものであるならば——
『《魔王》は複数体——これと同格のものがまだいるのか…?』
伝承には《魔王》とあるだけで、その名は記されてはいない。
《魔王》と呼ばれる存在がスロウス以外にも居るとするならば、この上無い脅威である。
一際大きな翡翠の魔力反応、それに《魔王》が封印されている遺跡がある筈の王国の名が挙がっていない事が気掛かりではあるが、これ程の存在が複数体いるとなると、王国どころか世界が滅びかねない。
《魔王》スロウスは、何としてでも倒さねばならない敵。
それはレイモンドも、痛い程に理解している。
しかし——
『アマネ…』
スロウスが受肉する為の依代とされた少女——アマネ。
帝国のスラム街で、一ヶ月という短い期間ではあったが、共に生活した家族であり、同時にレイモンドの心を救ってくれた存在。
ローファスが記した作戦——呪文の束の中に、アマネを救う方法が書かれていたのかは分からない。
呪文の束を読んだアンネゲルトもリルカも、その事について言及する事は無かった。
ローファスでも、アマネを救い出す方法を見つける事が出来なかったという事なのか。
《魔王》を放置する事は王国、ひいては世界の危機。
スロウスは、どんな手段を用いてもこの場で滅ぼさねばならない。
レイモンドは、その事を理解している。
それでも——
『…ショウと約束したからな。アマネを必ず連れ戻すと』
方法が無いなら、戦いの中で見つけ出す。
“ 世界の王になるのだろう!? なら好いた女一人位、手ずから救ってみせろ!”
ローファスに言われたその言葉を、レイモンドは忘れていない。
ずっと頭に残り、耳の奥で繰り返し鳴り響いている。
レイモンドは六枚の翼を羽ばたかせ、スロウスが座する地上まで急降下した。
空より姿を現したレイモンドに、スロウスは目を細めた。
『…怖気付いて逃げたものと思ったが、まだ俺様の前に出てくる気概があったのか』
『君は危険だからね。それに、君の中にいるアマネを助け出さねばならない』
『出来もしない事を口にするな。まあ無力な下等生物の遺言にしては上等か』
大蛇の如きスロウスは大口を開け、光を収束させていく。
見るからにブレスの構え——恐らくそれは、山脈を消し飛ばした光の球よりも強力なもの。
それを前にしながら、レイモンドは怯む事無く、不敵に微笑む。
『——私は、世界の王となる者だ。この世の総ての人間を導き、救う者だ。この理想は、想い人一人救えぬ者が叶えられる程軽くはない』
『ならば叶わんな。貴様はここで、俺様を前に何も出来ずに死ぬ』
今にも死のブレスを放たんとする《魔王》を前に、レイモンドはくくっと喉を鳴らして笑って見せる。
『…狂ったか。笑う余裕がある様には見えんが』
『聞いていなかったのかい。私が目指すのは“世界の王”だ。《魔王》
嘲る様に笑うレイモンドに、スロウスは怒りからか、瞳孔が細長く捕食者のものへと変容する。
『そうか。死ね——口先だけの愚物が』
放たれた死のブレス。
レイモンドは光の粒子と共に転移にて姿を消し——ブレスを吐くスロウスの顎の真下に現れる。
そして手に生み出した《
強制的に口が閉ざされる形となったスロウス。
口の中って行き場を失った死のブレス——その莫大なエネルギーが膨張し、遂にはスロウスの頭部を巻き込む形で暴発した。
天に光の柱が立つ程の魔力爆発。
スロウスの巨体は、その光の奔流に飲まれ、焼き尽くされる。
自身の魔力による自爆——しかし、スロウスはこの程度では死なない。
焼けた巨体は即座に修復され、傷一つ無い状態に戻る。
しかしその巨体は、修復する前よりも一回り小さくなっていた。
『…ほう。攻撃する度に巨大化するものだからどうしたものかと思ったが——魔力の発散か、或いは過度なダメージを受けると縮むのか。実に興味深い。或いはこれは、君の攻略に繋がる情報かも知れないね』
再生を終えたスロウスは、じろりとレイモンドを睨む。
『分かった所で、貴様程度にどうにか出来るものでもない』
『ほう? つまり私じゃなければどうにか出来る可能性があるのか。良い事を聞いた』
『…貴様』
忌々し気に睨むスロウスに、レイモンドは肩を竦めて見せる。
『そもそも君、《魔王》は六神に負けたのだろう。それが伝承通りなら、その時点で攻略法はあるという——』
挑発を続けるレイモンドの言葉を遮る様に、度を越した翡翠の魔力波が放たれた。
スロウスは怒りに身を震わせる。
『——けた、だと…』
何かを呟くスロウス。
そして翡翠の瞳が、赤黒く変色した。
『——六神に、負けただとォ!? この俺様がァァ!!?』
絶叫、怒号、咆哮——それらの表現では生温いと感じる程の怒りの声が、スロウスより上がった。
大気は震動し、暴風が吹き荒れる。
『俺様は負けてなどいない!! あの卑怯者共! 今度会ったら八つ裂きにしてくれるわァ!!』
スロウスが怒りに任せて胴をうねらせ、その度に暴風と地震が引き起こされる。
そして遂には、その身より、先程とは比べ物にならない規模の数の光の球が生み出された。
周囲を覆い尽くす程の夥しい数の光の球。
その数はどんどん増していき、空すらも埋め尽くす程に増えていく。
光の球は、恐らく一撃でも当たれば終わりの即死級の威力。
恐らくいかなる防護魔法でも防ぎ切れない為、逃げるならば転移しかない。
しかし、転移出来る範囲を満たす様に、光の球が漂っている。
もしも全てが放たれたり、爆発されれば、レイモンドはどうする事も出来ずに死に至るだろう。
圧倒的な質量による数の暴力。
光の球を出し終えたスロウスはその巨体を更に縮め、受肉した当初程にまでの大きさになっていた。
光、魔力の消費で肉体が収縮しているのか、とレイモンドは推察する——周囲を漂う光の球の直ぐ横で。
『死の瞬間まで考え事か? 豪胆か、或いはただの馬鹿か』
勝ちを確信し、嘲る様に言うスロウス。
しかし、レイモンドは落ち着いていた。
『今一度繰り返すが——私は世界の王となる者だ』
『今際の際——それでも尚、戯言か。下らん』
最早興味が失せたとばかりに、全ての光の球を爆発させんとスロウスは魔力を高めた。
しかし——光の球は爆発しない。
何の反応も無い。
何故、と繰り返し魔力を高めるスロウスに、レイモンドは微笑む。
『…世界の王——私一人でなれるなどと、思った事は無い。だから、私と対等で居てくれる、頼れる仲間を探し出したんだ』
レイモンドの言葉に、スロウスはギロリと睨む。
『貴様か…貴様が何かやったのか! 《第二の魔王》!』
『私は《
レイモンドの周囲、そして地面の至る所から——
『これらの光の球は、もう君の魔法ではない。彼女のものさ』
レイモンドは不敵に笑い、その視線を空に向ける。
「レイモンド!」
上空より、少女の声が響いた。
それは荊の術者——アンネゲルトの声。
ベールが剥がれる様に透明化が解け、真紅の飛空艇が姿を現した。
飛空艇より飛び出した黄金の竜騎士と巨漢の男が、レイモンドの左右に降り立った。
「よう、こいつが《魔王》か。まあまあ強そうじゃねーか」
「凄まじい魔力だな。ローファス程ではないが」
左側に立ち肩を振るうオーガスに、右側に立ち槍を構えるヴァルム。
頼もしい両翼を背に、レイモンドは微笑む。
『強いよ、私一人では倒せぬ程にね。しかし——今はもう、負ける気がしない』
並び立つ三雄と、魔王が対峙する。
これより戦闘は、より激化する。
因みに飛空艇では——
二人に続いて飛び降りようとしたアベルはリルカに取り押さえられ——
「オーガス! ヴァルム! 何を勝手に飛び出してるの! 重傷なのよ!? 馬鹿じゃないの!?」
アンネゲルトは飛び降りた二人にヒステリックに怒鳴っていた。
*
国境の氷雪山脈——その険しい山道を、凄まじい速度で走り抜ける三つの人影があった。
その三つの影は、帝国方面へと進む。
その黒い装いには——太陽を喰らう三日月の紋章が刻まれていた。
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