So1
ハローハロー。
私だ、アウターだ。
フルネームは長いので割愛させてもらった。
誰だお前は、そう思ったかね?
それは正しい反応だ。
何せ、この物語の語り部、ローファス君以来の一人称だ。
まあ私の事など、ただお喋りなおじさんとでも思ってくれたまえ。
さて、いきなりこんな形で登場をしておいて、一体何の話をするのか。
きっと諸君はそう思ったに違いない。
何、他愛無い話だ。
第一章、EP・ローグベルトについてだよ。
実は私も、諸君と同じくことの全容を見ていた、謂わば視聴者と言う奴でね。
私なりの解釈と感想をダラダラと話させてもらうよ。
ローファス・レイ・ライトレス。
原作に置いて、魔王に付き従う四天王として登場した悪役。
どうやら悪役のローファス君は、夢として原作知識を得たらしい。
それも、幾千幾万と殺されるオプション付き。
まだこの時点のローファス君は何の罪も犯していない善良な一般貴族だと言うのに、何とも可哀想な話じゃないか。
余程衝撃的だったのか、彼は将来の破滅を免れるべく行動を開始したらしいね。
しかしどう言う訳か、原作の流れとは異なる出来事が起きている様だ。
漁村は三年後である筈の原作時よりも廃れ、村の存続すら危うそうな状態。
クリントンなるなんちゃって貴族の所業により、随分と愉快な状態になっているらしい。
勝手な増税、略奪に誘拐に奴隷売買、etc…
もう良い所を見つけるのが困難な程に、絵に描いたようなクズい悪徳貴族だ。
しかし所詮は小物、我らが語り部ローファス君により締め上げられた挙句、なんか気付いたら海の藻屑になっているじゃないか。
お手本の様な退却劇からの、見事な退場。
クリントン、彼には是非、アホ貴族オブザイヤーの称号を授与したいね。
そして魔物活性化の原因と思われた四魔獣の一角、海魔ストラーフ。
ついでの様に殺されたが、どうやら冤罪だったらしく、真犯人は別に居た。
そう、一章で登場した中で間違い無く最強の敵、空を泳ぐ様に舞う鯨の魔物——魔鯨君だ。
口からビームを出したり、氷の槍を飛ばして来たりと、図体がデカい割にゴリゴリの遠距離魔法タイプ。
その上、ローファス君が引く程のクソ固い魔法障壁に、傷を受けても即座に再生する超速再生持ち。
これは何処のぼくの考えた最強の魔物かね?
案の定、ローファス君は大苦戦を強いられ、生意気ボーイフォル氏を庇って左半身をおしゃかにされる程の重傷を負った。
まあ結局、何やら御業とか言う禁忌っぽい魔法で一発KOした様だが。
あれだね、流石の再生魔人魔鯨君も、肉片一つ残さず蒸発させられたら流石に無理だったらしいね。
結果から見れば激闘の末の辛勝の様に見えるけど、よく考えるとこれ、ローファス君も魔鯨君も、両者共に舐めプし合ってるんだよね。
お互いがお互いを舐めて掛かって、ちょっとずつギアを上げて行ってると言うか。
初手で御業を使えばローファス君は無傷で勝てたし、魔力枯渇にならずに済んだ。
逆に魔鯨君も、勿体ぶらずにビーム連発してりゃ余裕勝ちだったと言うね。
だからこれは、互いが互いを舐めていたが故に起きた、お互いに被害の多い戦いと言える。
まあ、これを言ってしまうと元も子もないがね。
所詮は結果論さ。
そもそも原作に存在しない魔鯨は何なのかと言う話でもあるし。
話に聞く限り、魔鯨が魔物凶暴化の原因であり、その魔物の凶暴化の仕方は原作一章で魔王復活の際に起きた《カタストロフ》に酷似していると言う話だ。
これだけ聞くと、魔鯨は原作一章の魔王と何らかの関係がある様に思えるが、どうなのだろうね?
或いは、ローファス君以外の未来を知る者…原作一章の魔王と考えるのは少し安直かな?
さて、話は移り変わって遭難とフォル氏だ。
まるでご都合主義の化身の如く現れた水の精霊ルーナ何とかにより、無人島にご招待だ。
ここでビックリ、生意気船乗りボーイのフォル君♂のは正体は、実は原作ヒロインの一人ファラティアナちゃん♀だったのだ。
…ま、まあ、私は気付いていたがね。
諸君はどうかな?
鈍ちんのローファス君は気付いて居なかった様だ。
あれだね、やはり遭難からの男女の裸添い寝はマストだね。
しかしそんな中、無防備なローファス君をファラティアナ氏の魔の手が襲う。
言っておくが、卑猥な意味では無いよ?
これは、どう言う状態なのだろうね。
原作の記憶を保持したファラティアナが、現在のフォルの中に居るのかな?
何ともややこしいが、繰り返していると言う性質上、当人に記憶は引き継がれずとも、感情が魂に蓄積されると言う事もあるのかも知れないね。
原作のファラティアナは《影狼》のローファスを仇として憎んでいた。
仇が目の前で無防備を晒していれば、殺意剥き出しになって当然の事。
が、これは現在を生きるフォル氏が振り払った様だ。
半身を犠牲にしてまで庇われたが故か、裸の付き合いになって情でも移ったのか、この辺りからフォル氏の態度の軟化が凄いね。
まあ、元より原作でも主人公アベルと共闘して共にローグベルトを守った
命懸けで庇われた上で裸で一夜を共にすれば、まあどう見積もっても好きにはなるだろうね。
ここからの好意を向けられ慣れてないローファス君の感じも見ていて面白い所だ。
さて、おじゃんにされた左半身は高度な治癒魔法で治されてしまったね。
しかしこびり付いた魔力が呪いの如く作用して、左目の視力と欠損した左腕の再生は出来ないらしい。
魔力は封印されてしまった様だが、取り除くのは困難。
治療不可の傷を負わせるとは、グッジョブだ魔鯨君。
それでこそ誰かが考えた最強の魔物だ。
ぶっちゃけローファス君は魔力多過ぎるし、片手失う位の弱体化が丁度良いのではないかな。
後は奴隷を助ける為に雪国まで転移して、偶然にも見知った顔——ヴァルム氏に出会い、何やらフィーバーしたローファス君が大暴れ。
戦闘後にヴァルム氏から飛竜を借りて、皆で仲良く帰還して再会。
からの告白エンディング、と。
最後の方が多少駆け足にはなったが、ざっとこんな所だろう。
さて、一章を通して見て、私の中で幾つかの疑問が残った。
やはり先ずは魔鯨の存在だろう。
原作に存在しない強敵であり、魔王が復活した際に見られた魔物を凶暴化させる《カタストロフ》と酷似した現象を引き起こしていた。
そして女騎士曰く、本体は別に居る。
一章に置いて、明確に原作とは違う点でもある。
魔鯨の存在は非常に異質であり、一章最大の謎とも言える。
そして個人的に気になる点がもう一つ。
それはファラティアナに対するローファスの感情。
実は好きなのかとか、意識しているとか、情が写っているだとか、そんな話では無い。
ローファスと言うのは、厳密には《影狼》の方の話。
《影狼》はファラティアナに対して憎しみに近い感情を持っていた筈だ。
にも関わらず、フォルがファラティアナである事を認識してからも、表に出て殺意を向ける事は無かった。
ヴァルムとは出会った瞬間に黒い感情が噴き出て現在のローファスを容易く飲み込んでいたにも関わらず、だ。
何故、ヴァルムに反応したのにファラティアナには反応しなかったのか。
ふむ、謎である。
まあ、今後の展開で何か分かることがあるかも知れん。
先を待つとしよう。
では諸君、今日はこの辺で。
繰り返しの果てまでご機嫌よう。
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