技術で成長する
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「お身体の具合は如何でしょうか?」
「生まれたばかりの赤子の身体は不自由だな」
「もう少し動けるように致しましょうか?」
「いや…これはこれで趣深いというものだろう。この不便さは今だけのもの、少し愉しもうかと思う」
「畏まりました」
「だが、何時までもこの不自由さというのはいただけないか。徐々に成長させていこうか」
「では、成長と共に肉体を改造していくというプランは如何でしょうか?」
「ふむ、そうだな。見た目上は周囲の人々と変わらないように気を付けつつ、出来得る限り強化をする方向でお願いしよう」
「畏まりました。肉体強化には痛みを伴いますので、処置を行っている間は意識を落としましょうか?」
「そうだな。痛みを感じたい訳では無いから、それでいこう」
「では、成長に合わせ徐々に肉体強化を致しますので、痛みを伴う処置を行っている際は第三者視点で肉体の成長をお楽しみ下さい」
彼が異世界転生疑似体験をする為に降り立った惑星は、
太陽系第三惑星地球に酷似した地形・環境になる様にテラフォーミングされているが、そこはファンタジー型と呼ばれるだけ有って、自然科学だけが存在している訳では無かった。
魔法と科学が共に存在し、蒸気機関と魔法が存在するそんな時代。それが、彼が存在している世界の状態であった。
ただし、この惑星の魔法は科学技術が発展している事からあまり発展しておらず、身体強化や武器等を強化したりする程度に収まっており、魔力を変換して火や水を生み出したりする様な段階には至っていない。
そんな環境にあるこの地球に酷似したF型アミューズメント惑星の地表に存在する国家、ベーエアデ王国に存在するディートリヒ男爵領に誕生した肉体に宿ったのが彼であった。
この男爵領は、隣国であるモンブラン王国と呼ばれるエルフが治める永世中立国に面しており、比較的穏やかな環境下で治世が行われている。
だが、ベーエアデ王国自体は軍事国家。ディートリヒ男爵家もその影響を強く受け、過去数多の王家に仕える有能な騎士を多く輩出してきた家であった。
そんな、武闘派な家に生まれた彼の肉体…ヘェッツ・ディートリヒは成長著しく、男爵家に生まれた男児として将来有望と期待されて幼少期を過ごしていった。
男爵家は、その子供が銀河系国家から訪れた、とある資産家が遊ぶ為の肉体となっている事を知らずに…
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