異世界転生は娯楽です。

現実に存在する惑星でゲームの様に遊ぶ

１

　銀河規模の国家「マギコポターミ帝国」。

　その国では様々な場所で様々な研究開発が行われ、日進月歩技術が進歩している。

　そんな帝国での娯楽もまたやはり進歩していた。

　異世界転生疑似体験。

　地球型人類種が宇宙を旅する以前の時代より、サブカルチャーの定番的なお題目として使用されてきた異世界転生を、実際に実現させて遊ぶというものだ。

　この異世界転生疑似体験は、F（ファンタジー）型アミューズメント惑星と呼ばれる、この遊びの為だけに用意された惑星に存在する肉体に意識を移し替えて、擬似的に異世界転生を演出して、その地で生活を営んで遊ぶという、無駄に壮大な規模の遊びとなっている。

　そして、この宇宙には惑星は数え切れないほど存在し、また資産家というものもかなりの数が存在している。

　つまり、この娯楽はお金持ちがその有り余る時間とお金をつぎ込んだ遊びの一つであった。

　そんな遊びを始めようとしている男が一人。

　その男はこの遊びを始める為に増設した首後ろのソケットを、専用の機械の端子と接続し、カプセルの中に身を横たえた。

　そして、その男の肉体を保全する為の処置が始まり、男の意識は夢現の中に沈んでいく。

　こうして、物語は始まったのだ。

　後は現地のF型アミューズメント惑星で用意された環境や、様々なイベントを遊んで愉しむだけである。