第102話:メリークリスマス。

今日はクリスマス。


子供の頃は街がクリスマス色に変わっていくことが好きだった。

バスの窓から、移りゆくイルミネーションにワクワクした。

なによりサンタクロースからのプレゼントに胸躍らせた。


青年になって恋をした。

デートをして彼女を家まで車で送って行って、何度も車を止めて、

窓から後ろを振り返って彼女に手を振った。

彼女も僕の車が角を曲がって見えなくなるまで手を振っていた。


僕は家に帰ってからも彼女に電話した。

僕が「おやすみ」って言うと君も「おやすみ」って言う。

また僕が「おやすみ」って言うと君はくすくす笑いながら「おやすみ」

って言う。


ふたりとも電話を切らない。

僕が「じゃ〜一緒に切ろう」って言って同時に電話を切った。


そんな、たわいもないやりとりが毎日のように続いた。


君のウェディングドレス姿を見た時、今日からもう君に電話を

かけることもないんだって思った。


仕事を終えて家に「ただいま」って帰るといつも君の笑顔があった。


それから何年経ったんだろう。


そして今日の今夜のクリスマス。


子供の頃見たイルミネーションはその頃より感動はなくなっているけど

僕たちの気持ちは、お互い初めて出会った時から変わらない。


恋人同士だった頃から交換してたクリスマスのプレセントも、

今となっては、もうあげることも、もらうこともなくなってしまったけど

僕の君への愛と、君の温かいハグとキスがあればそれで幸せ。


永遠は続かないのは知ってる。


でも命あるかぎり、これからも精一杯、僕たちの素敵な思い出を残して

行きたいと思う。


メリークリスマス。


素敵な君に。

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