第8話:勘違いしてしまったおっさん

嫁さんと僕が結婚したのは、嫁さんが二十歳の時。

嫁さんはどっちかって言うと、童顔なので、幼く見える。

高校の制服を着たら、まだ現役で通用するくらい。


で、コスプレ好きの僕は、嫁さんが残してた、高校の制服を着てもらって、

昼間からニャンニャンしてたんです。


そんな日、誰かがピンポンってマンションのドアのチャムを鳴らした。


僕は居間にいたんだけど、嫁さんが出ると年配のおっさんが、ずけずけ入って

きて開口一番


「布団買って欲しいんだけど・・・」


嫁さんが、


「間に合ってます」


って言うと、おっさんは


「あんた、娘さん?」

「お母さんいる」


って言ったんだな。


その時僕は、このおっさんは勘違いしてるなって思った。

嫁さんを見て、子供じゃ話にならんと思ったんでしょうね。

そりゃ、そうだよな、出てきた女は女子高生の制服着てるんだから。


てっきり本物の女子高生って思ったんだろうな。


「お母さんいる」って言っても、なんの不思議もない。


居間にいた僕はおかしくてたまらなかった。


「この子はこの屋の主婦だよ」


って、おっさんに言ってやりたかった。

おっさんがあまりにしつこいから、僕が


「帰ってもらえ!!」


って怒鳴ったら、おっさんは慌てまくって帰って行った。


布団買わされずに済んだし、嫁さんに制服着せててよかった。


これがメイド服なんか着せてたら、一般家庭で何やってるんだって、

おっさんに思われたに違いないですよね。

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