第10話 あれれ~
私は早速次の日からこういうの苦手だけど……あぁぁあとか思いつつも。
でもでもだってと言い訳してやらないのはよくないと。
席を探すときに、朋ちゃんのように周りに声をかける機会があったらをやってみることにした。
と言っても男の子だけに毎回ピンポイントに声をかける勇気はなくて、女の子に聞いた日のほうが多かったけれど。
初めて男の子に声をかけてみたときはかなり緊張した。
というか、女の子に声をかけるのも緊張した……んだけどね。
ドキドキしながら、周りに声をかけてみて気が付いたのは。
私こういうことちょっと苦手だからしょうがないって、周りの子に頼って全くしてこなかったなってことだった。
「ごめんここ、友達座るんだ」とか断れると、「わかった」って返すだけなんだけれど。
断れるとちょっとダメージを感じる。まぁ、こういう風にやられたら嫌だなってことを回避するために、苦手だからって動かなかったのかも……
でも……もしかしたら他の子もこういうやり取り実は苦手だけれど、ある程度苦手でもしなきゃって気を使ってしてくれてるのかもと思い始めた。
白雪ちゃんは可愛いけれど、手配とか面倒なことをいつもしてくれていたし。
朋ちゃんも今私がこういうの苦手だって思う、ここの席空いている? って確認を普通にさらっとしてくれたことが本当にありがたくなると同時に。
こういう苦手だからを勝手に免罪符にしていたけれど、もしかしたら苦手でも苦手だからって言わずにある程度は苦手だけど気を使ってするとかもあるかもとか、意識も改まった。
とりあえず行動に移したことで、いつメンが席がちょっと埋まっているときに私が行動に移すことでお礼をいわれるようになった。
後はなんていうか、古屋さんに言われてから毎日素直に従って続けてみたけれど。
週末を迎えたけれど、これといった変化は特になかった。
もしかして、これで男の子から話しかけられるかなと思ってドキドキしてたりしたのに。
男の子から話しかけられることは悲しいけれど一切なく。
特別変化を実感できなかった私は、ヨッシー先輩と雑談してきて!って古屋さんに言われたけど、実行することが不安になる。
ダメダメ、私ってば嫌なことは、すぐにやらなくていい理由を考えちゃう!?
やらないよりかはやって後悔!
嫌だからって理由を何か見つけて何もしなかったら何も変わらない!
私は彼氏が欲しい! ってことでとりあえず週末は古屋さんから言われたミッションをこなすべく、カフェに行くことにした。
相手のシフトはわからないし。ヨッシー先輩とリリコちゃん二人ともシフトに入っていればいいんだけれどと思いつつ電車に揺られて、二人が働くカフェへと向かった。
食事がメインのお店じゃないからお昼前がいったん客が引くかな、雑談できるような余裕があればいいんだけれど。とにもかくにもすごく緊張してきた。
バイトやめてから1度も会ってないから、二人と話するのも半年ぶりだ。
久しぶりに会うにあたって、一応前と違う感じを出したくておしゃれしてきたけれどどうだろうか?
私は古屋さんお勧めのカラコンを人生で初めて使っていた。
コンタクトレンズはもともと使っていたんだけれど、カラコン……これがすごいちょっと入れるだけで顔の印象が違う。
メイクはいまだに動画サイトをみて自分に合うのを研究中って感じだけれど……化粧下地で顎のあたりに生理の周期に合わせて毎月毎月できるニキビやニキビ跡カバーしてからファンデーションを塗るようにしてからは、顔としては激変はしてないけれど。
肌がすごくきれいに見えるようにはなった。
動画サイトみたく、もっと一重の目元が激変まで習得できればよかったんだけれど。
アイプチは、やりなれてないせいかすぐに取れてきてしまうし。
よくよく考えたら、人よりもものすごいことができるから、あの動画がバズっているわけで、私が一朝一夕で習得できるものではないのだろう。
それでも化粧下地の使い方を理解して肌がきれいに見えるだけでもよしとしよう。
連絡先を今日は聞く必要はない。
とにかく、久しぶりって挨拶して軽く近況をちょっとでいいから雑談するだけでミッションCLEAR。
雑談も沢山する必要はない、二人はバイト中なんだもん。
とりあえず二言、三言でも話せたら一応よしとすると。
ものすごーく低いハードルを作って私はいざお店へと乗り込んだ。
11時20分。
オープンしてすぐのカフェでの待ち合わせのお客さんがひと段落して、客席はそれなりにうまっているもののレジにはお客さんは並んでいないのをまず確認。
そして二人が休みだったらどうしいようと思っていたけれど、リリコちゃんはちゃんと休日のシフトに入っていたようで、お客さんがいない間に厨房からあがってきたスコーンやクッキー、サンドイッチの補充をしていた。
作業をしているのはリリコちゃんだとわかっていながらも、私はクッキー欲しい客のふりをして話しかけた。
「すみません、クッキー取りたくて」
「失礼いたしました」
振り返り私にそう笑いかけたリリコちゃんの顔は石井実来だと理解したのか、一瞬『えっ』という顔に変わる。
「あれ? リリコちゃん? 久しぶり~」
話しかける前になんていうか考えて、何度もシュミレーションしたセリフを私は言うことに成功した。
えっ! って顔をされたことから、『人違いです』とか言われたらどうしようと思うけれど、もう話しかけちゃって後には引けない。
「ミク……久しぶりだね~元気だった?」
とりあえず無視や『人違いじゃないですか?』、『誰ですか?』って言われなくてほっとする。
私も理由をつけてバイトを急にやめたからわかるんだけど。
おそらくリリコちゃんは実習が忙しくなるからって理由でやめたから、実習が忙しいはずなのに別の店でバイトしているのを私に見つかった感じになっちゃってるから気まずいんだと思う。
「元気だよ~。……実はリリコちゃんが辞めた後、私も『さのさの』辞めたんだ」
実はって声を落として、私は会った時にこういう風に切り出そうと考えていたセリフを言った。
「えっ、そうなの!?」
リリコちゃんは私が辞めたことが意外なようだ。
まぁ、辞めないタイプに見られていたんだろうな。
現に古屋さんのことがなかったら、私絶対いまだに愚痴を言いながらも『さのさの』で働いてたもん。
「えー、店長がさバイトのことで結構連絡してくるタイプで。後肩とかポンッてされるの嫌になっちゃって。残っている子には申し訳ないんだけど……。バイト先なら他にもあるし。あっ、辞めてない子には内緒ね。それで注文もいいかな?」
バイト先なら他にもあるし辞めたってことまでいってから、私とリリコちゃんはSNSのグループでしか繋がっていなかったけれど、まだ残っている子と繋がっていて、そっちに言われたらと思って慌てて、取り繕うように内緒ねと付け足し注文してもいいかと話を無理やり終わらせた。
「あっ、失礼しました。少々お待ちください」
リリコちゃんはそういって、いったんストックが入っている箱を片づけにだろう、奥のキッチンスペースにはいった。
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