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 テントの前で食事をとりながら、ウェンティの記憶を取り戻す切欠になればと幾つか世間話を兼ねた質問をしてみる。

 家族の事、住んでいた場所の事、好きな食べ物や好きだった事、色々質問してみるが、肝心な事はやはり靄がかった様に思い出せないらしい。

 頭痛などはしない様だがあまり質問し過ぎて負荷になるのもアレなのでそこそこにとどめた。やはりその、夢に出てくるというイヤリングが切欠になるのだろう。


 明日早くからその遺跡に向かういう事で、今日は早めに就寝する事にした。そもそも(ネメシスの用意した魔法のランタンのお陰で)明るいとはいえ安全の保障がない異世界での外泊だ。やはりそれなりに身体が疲れている。

 ネメシスが用意したテントは俺用と、ネメシス&ウェンティ用の二種類だ。麻痺していたが流石に男女が一緒に寝るのはアレだわな。

 

 「わたしに構わずに、婚約者さん同士で寝てもいいんだよ?」とウェンティは言ってくれるが、流石にウェンティの目の前でイチャイチャするのも憚られるしな。

 ネメシスもウェンティもパジャマに着替え、お休みの挨拶をしてテントに潜った。


 万全に防御魔法をかけられたテントで明日に備えて就寝する……。


 ……


 ……テントに入って1時間弱、ネメシスの魔法は効いている筈だ。なのに誰かが近付く気配がする……。

 俺は緊張しながら枕元のショートソードを手を取り、その物音の襲撃に備える……テントの入り口に手をかけ、襲撃よりも先に開ける様身構える……。


 3、2、1……今だっ!


 バサッ!!


 「きゃっ!」


 っという声と共に、そこに倒れこんだのは……


 「……もう、流石旦那様ですわね……一応サイレントの魔法はかけておいたのですが……」


 ……いつの間にか野暮ったいパジャマから、いつも寝室で見せるスケスケで身体のラインが丸分かりな薄桃色のネグリジェに着替え、こちらに大股開きでほとんど下着としての体を成してない紐のようなパンティを見せつけながら倒れこんだネメシスだった……。


 「……何を、している?」

 「え? そりゃ当然夜這いですわっ♪」

 「……いつもなら大歓迎で、むしろ俺の方から行きたい所だが……状況を考えろ! 冒険先の野外キャンプで、しかも……」

 「ああ、ウェンティさんならお休みになってますわ……ぐっすりと眠れる様に事前にお渡ししたお薬も効いてると思いますし、そう簡単には目を覚ましませんわ♪」

 「いやいやいやいや、彼女が寝てるとかそういう問題じゃ……」

 

 「一週間」

 「……へっ?」

 「もう、旅行に出発してから一週間は、シてませんのよっ! ルナ様の手前出来なかったのもありますが、それまでは毎日朝昼晩問わずぬるぬるずこばこと、まるで野獣同士の性交の様にいたしてましたのに……もうわたくし、我慢の限界ですわっ!」


 そう答えるとネメシスは戸惑う俺の隙を突くかの如く抱き着き、キスをしてきた。

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