♪24

「ん〜海だぁ〜!」


桜花がぐーっと伸びをしながら言う。いつも外に行く時の格好。オーバー気味のパーカーと色が抜けてきたデニムを合わせている。


「久しぶりやね。」

「やな。てか、ここでよかったのか?」


来たのは家から2時30分くらいかかる、サーファーの聖地。貝塚とかそこら辺のヤンキーたちはよくここに来ていたらしい。


「ええんよええんよ。ここに来るまでに乗ったやろ。あのピンクい電車。あれに乗れただけで目的の半分は達成出来たし。」

「青いのもあるんやって。」

「帰りはそれ乗るで!」


ビーチに沿ってある堤防を歩きながら、そんなことを話す。本当に俺とで良かったのかって聞いたら、多分怒るから聞かないでおこう。


「あそこら辺、サーファーいないし行こ。」

「おう、そうだな。」


堤防を飛び降りてビーチを走っていく。


 波打ち際に着くなり、桜花は靴を脱ぎ捨てた。


「冷たっ!やばいやばい!ガチ凍るって!」


あまりの冷たさにテンションが上がってる桜花。俺は浜辺の流木に腰掛けて、それを眺めていることにした。


「彪河も入ろーよ!」

「冷たいを連呼されて入りたくなるやつがいるか?」

「ん…」


―ビュッ


こいつ水かけやがった。


「おいコラ!かけんなよ!」

「ごめんごめん!ほら濡れたんやからもう変わらんやろ!入ろ!」

「ったく。」


俺は靴を脱ぎ捨てて、まだ冷たい海に入っていった。


『このままじゃきっと 僕たちは

 繋がりなんかなくなってしまって

 ずっと2人だけの 合言葉

 呟くだけなって。


 あぁ もう 切れそうだ

 細い細い糸がほつれて

 あぁ もう少し長く

 君と手取り合えたら


 いつも探して

 いつも見つけて

 いつも正解を拾って捨てて

 君のことだからそこまで出来たんだ

 気づいておくれよbaby



 このままじゃきっと 僕たちは

 だんだん距離が出来て消えてって

 ずっと2人だけの ハンドサイン

 この方が仲良いな


 あぁ もう 消えそうだ

 朧の中に紛れてく

 あぁ もう少し深く

 君と分かり合えたら


 いつも通りで

 いつも隠して

 いつも本当のことは言えないで

 君を想うからそこまで出来たんだ

 気づいておくれよ


 In the cold water 君と2人

 同じ思い出をかけあってさ

 And we can be better このまま2人

 ずっといられたらなんて 儚いや』

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