第63話
今後の方針を話し合った結果。
擬態した二人とミドヴィスが看取ったという体で話を進め、その証拠として支給されていた武具を返還しようという話になったけど「返すのは武器だけにしましょう」というアフェクトの言葉に俺達は
やれやれという表情と「ふぅ〜」と深いため息を吐いたアフェクトの「
ということで
なったんだけど、こっちは問題が山積み。
まずセリシェールにはセプテシズムの逃走方向を掴めていないことがあった。そもそもの話、セプテシズムという名前が偽名である可能性が高いこと。犯罪者が本名を名乗ると思えないと言うのが俺達の共通認識だった。
更にいうと容姿さえ当てにできないこと。
コレについてはここにいる俺達のうち
七人中四人が擬態しているからこそセプテシズムが容姿を偽っていると俺達は疑っていた。
「セリシェールはセプテシズムの外見以外でなんか特徴を覚えてない?」
「特徴と言われても……」
普通はそうだよなあ。特徴って言われて外見以外ってなるとそれなりに付き合いが長くないとわからないだろうし、それを他者に伝えて捜すとなると難易度は跳ね上がる。なんか、コント的な展開になりそうな予感がする……
荷物から探索する方法は無いものかという意見も出たけど、こっちは近くにあれば探知できる道具があるらしいけど、有効範囲は大体十メートル。補助的に使用する方針としたけど、肝心の何処に向かうかということが決まらず、ルゥヴィス方面の情報は
「アンクロを離れる時は探索者組合に書簡の入った木箱を預けていくよ」
この木箱はちょっとした細工をしている。
二重底にしてダミーの書簡を入れておいて本命は使用者制限をかけた収納魔術で俺達以外には取り出せないようにしておくことにした。
「あんまり考えたく無いけど組合に内通者がいないとも限らないからね」
「うん、
「そうだな、よその探索者組合で特定の商人との癒着を調べて欲しいという依頼をアンディグで受けたことがある。大きなとこだといろんな人がいるから中にはそういう者も出てくるんだろうな」
俺に比べて多くの依頼をこなしてきた三人にそう言われると気を回し過ぎたってことはなかったんだと安堵する。俺が警戒し過ぎてるんじゃ無いかって考えていたんだ。
「じゃあ、今日はシェリーナ(
「あ、アンクロの街案内は私が引き受けよう」
「そう? 助かるよ」
「皆んなは行きたいところとかある?」
「う〜ん、私は防具を見に行きたいかな」
「女の子っぽくない……」
「うっさい! 今のが悪いわけじゃ無いけど、なんか物騒なことになりそうだし、備えておきたいんだよ。エンリもミドヴィスも装備の更新考えたら?」
セリシェールは論外だし。ん? 論外だよな、実はとんでもない付与がかかっててそこらの鎧より防御力が高いなんてことないよな、ゲームみたいに。そんな疑問を持った俺は訊いてしまった。
「セリシェールの服って防具としての機能ってあるの?」
民族衣装のような雰囲気のワンピース。
俺やエイシャのようにアンディグの町で買った服と比べると随分生地が厚い。
セリシェールの着ていた外套の付与のことを考えれば服にもなんかありそうな気はしている。
「さあ、ないんじゃない?」
「えっ、結構生地、厚いよね?」
「でも、古いだけよ。これお母様が若い頃に着ていたものだから」
「ん? んんっ!?」
セリシェールに年齢を尋ねかけた俺の口にズバンと音がしそうな勢いでアフェクトの人差し指が突きつけられて言葉を発することができなかった。
後日判明したことだけど幼い見た目のセリシェールだけど、その実は七百二十三歳…… 彼女のお母様の若い頃ということは……
俺には想像のできないくらい前なんだろうな。
補修技術が凄いのか、なんか付与がされているのか、セリシェールは結構雑に扱ってるけど良いのかそれで……
俺はそれ以上のことを考えるのをやめた。
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