3話 なんの変哲もない普通の日


公園から歩き始めそんなに時間はかからず家に着いた


家に着いてから少したち芽依さんや麻衣さん優愛は帰ってしまった


「みんな帰っちゃいましたね」


「そうだね〜」


唯さんと窓の外を眺めながらぼんやりとする

振り返るとここ数ヶ月で色々ありすぎたなと思う

けれどそのほとんどを助けてくれたのは唯さんだった、本当に唯さんには頭が上がらない


俺がぼんやりと考え事をしていると、隣に座っていた唯さんは突然何かを思い出したかのように立ち上がり


「久しぶりにゲームしよっか!」


と元気満々に宣言した


他の部屋にあるコントローラー類をリビングに運びそれからゲームの電源をつけた


「久々だね、2人でゲームするの」


「確かに、そうですね」


そう答えたあと俺は手に持っているコントローラーを眺めた

久しぶりの感触、唯さんと出会う前まで知らなかったはずのものなのに今ではその感触が自分にフィットしているような感覚がある

元々生まれながらに持っていたかのような感覚

俺はゲームの魔力に取り憑かれ始めていた


「じゃあ私これで」


「じゃあ俺はこのキャラにします」


唯さんと始めたのは有名なレースゲーム

前から唯さんとゲームをする時は大抵これを遊んでいる


「そのアイテムずるいよ!」


「そこ当ててきます?」


「コースアウトした〜」


「レアアイテムキター」


などゲームの展開によって様々なリアクションを2人でしながらゲームを楽しんだ


「いや〜、やっぱり唯さん強いですね」


「ぇっへっへ」


結果は10戦して唯さんの全勝だった


「私ずっと1位だったしご褒美欲しいな」


唯さんが照れくさそうに言ってくる


「俺、あげれるものなんてありませんよ?」


「ううん、ものじゃなくて、ただ頭撫でてくれないかなって」


唯さんは少しモジモジしている


「分かりました」


俺はそう言って唯さんの頭を撫でる


唯さんは


「えへへ」


と言って俺の腕に寄りかかるような体制になった


「いつもと逆ですね」


「私だってたまには甘えたいからさ」


何の変哲もない

ただの1日だけど、あの日唯さんと会っていなければこうはなっていなかったと思うので何も無い日でも俺にとっては大切な1日だ

俺はこんな日常が大好きだ

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