第59話 選択
(はぁ何してんだろ俺)
今はあの空き教室で優愛と一緒にご飯を食べている
優愛から誘ってきたのに一言も口を開かない
ご飯を食べ、お腹が膨れる感覚と比例して後悔の気持ちがどんどん大きくなる
俺はあの日からしっかりとした判断ができていない
頭の全体にモヤがかかっているような、見えないなにかに流されているような、そんな判断ばかりしている
良かった判断をした日もあったがその他のほとんどがあとから思うと間違ったことばかりしている
そしてさっきもいくらお腹が空いていたとはいえ
もしかしたら復讐をされるという可能性もあったのにのこのことついてきてしまった
そしてこの考えも頭にモヤがかかった状態でしている、よくある大丈夫じゃない人が大丈夫だと言っているやつだろうか、俺なりに最善だと思う選択をしているのだが後から考えると失敗なので苦笑するしかない
「あの、あのね」
突然優愛が口を開いた
少し驚いたが言葉を返す
「な、何?」
「その、私なりのけじめとして話を聞いてほしくて、あ、えっと、だから許してほしいとかじゃなくてえっと、なんて言うんだろう、」
言うことを考えていなかったのだろうか言葉が詰まっている
(今更何話すんだよ)
とも思ったが話ぐらい聞くことにした、何かを判断するものそれからで遅くはないと思った
「私の両親離婚してるんだ、お母さんの不倫で」
不謹慎かもしれないけど親がいないのは奇遇だなと思った
「それで、お父さんは慰謝料取らなかったんだ」
「うん、」
「両親がいた頃は共働きで生活できるぐらいだったから離婚したからもう生活できないと思った」
「うん、それで?」
適当に相槌を打ち話に集中する
「その時ぐらいに同じ学校にお金持ちがいるって聞いたから」
「それが俺か」
「うん、そこからはどうやって仲良くなろうか探した」
「………」
声は出さずに首だけをふる
「でも結局昨日のことがあって、これからどうしようかと思って、インターネットで見たパパ活っていうのをやってみたんだ」
そう言いながら無理に笑顔を作る優愛
「あれって結構すぐ相手見つかるんだね、SNSで募集したら10分もせずに見つかったよ」
冗談のように振る舞う優愛にどう言葉をかければいいかわからない
「ご飯食べて、ホテル行ってさ、少し気持ち悪かったけど自分も同じなんだなって思った」
「5、6回くらいやったかな、結構乱暴にされて、ほらここ見てアザできちゃった」
ええへと冗談のように優愛が笑う
「その後家に遅く帰ったから親に心配させちゃって、スマホ見られてバレちゃった」
優愛はずっと辛そうに笑っている
「お父さん泣いちゃって、そこで私がどれだけ酷いことをしてたのか気づいたんだ、お母さんと同じだなって、」
俺はこの話をどういう感情で聞けばよかったんだろうか
「その後話されたんだ、お母さん養育費入れてたんだって、しかもお父さんも貯金あったって、今までしてたことはただの早とちりだったんだってさ」
最初優愛がお金目当てだったと知ったときは嫌な気持ちになった、が今はどんな気持ちで優愛を見ればいいのだろう
「許してなんて言わないけど、自分のけじめとして、今まで本当にごめんなさい」
優愛はそう言うと目から大量の涙をこぼした
「私に、泣く資格なんてないのに、ずっと純平くんとお父さんを裏切って来たのに、なんで」
自然と優愛の頭に手が伸びる
「なんで?、怒ってないの?」
「知らない」
俺は優愛の頭を撫で続けた
多分明日にはこの選択を後悔しているだろう
あの日からずっと頭がモヤモヤしている
このモヤが晴れる日は来るのだろうか
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