Ðel Fómwi 火と風の物語
f
1.
ラルラーはバルバスと一緒に
九年前に《灰色の神》メノーがラルラーを祝福してから、彼の教育に関わる数名の
子供を無視できなかった者たち──バルバスは控えめだが優しいし、ディハキムは育てた穀物をラルラーが食べるのを非常に嬉しそうに眺める。
今回の来訪者はかなり変わっていた。とても大きなごつごつした生き物を連れ(その背中に奇天烈な品々をたくさん積み上げていた)、なんだかものすごく興奮した様子だった。どんな人物か分からないので、いなくなるまでラルラーは他所で隠れていることになった。
あまりにも速いとラルラーはお腹がぐるぐるとなって吐いてしまうので、バルバスは気難しい
十分に
「バルバスは、馬乗りが上手?」 « Artz urót Árkeya gariir, Bárbath? »
なんとなくラシエンより上手いような気がしていた。
「そうだね……私は
「ゲルダルコイ?」 « Gér-dar'-koi? »
「
「炎……馬?」 « Gér……Lúk? »
「私たちは──
「ふうん」 « Uh-hu. »
「まあ、私は若いうちにチェサル国に雇われて、軍人になったけれど」 « Na, dj'vatzóch' Šnatineya het dj'uróch' koliir, Chesalu dj'zervóch'f eoi ruma. »
「
「そう、よく覚えたね」 « Lá, édešrot süriir. »
バルバスは手際よく天幕を張り、乾いた
干し肉と
「そろそろ寝ようか」 «El'vrölí hartz érwi elmin? »
「星が見たい」 « Nakó fartz Nayrérna. »
「いいよ」 « La'y. »
ラルラーは星読みを教えてもらうのが好きだった。灰色の
バルバスは地面に座り、羽織っていた毛布を広げた。
「寒くないか?隣においで」 « Artz urof oliir? Turelt'érha. »
ラルラーはバルバスにぴたりとくっついた。火の生まれのバルバスは暖かい。ラシエンは風の生まれだからか、くっついていてもすうっとするし、水の生まれのソルハは清潔すぎる感じがする。
バルバスは西に沈もうとしている星を示した。
「あの青い星は
「
「ああ」 « Lá. »
バルバスはナイフの柄の方で、土の上に絵を描いてくれた。ちゃんと見たことはないが、鱗と水の中で息をする鰓を持つ魚、それに
「私が暮らしていた場所では、
「ふうん……」 « Uh-hu…… »
ラルラーは東の空を指差した。
「あれが《サーミビアの弓座》?」 «Ki urot "Alún Thámivik" ? »
「そうだよ」 « Lá. »
「
「ああ」 « Lá. »
「よくいる名前」 « Sákha töteer. »
「そう……私の友人にもいた。別の名前で呼ばれていたけれど」 « La-la …… dj'kadoróch Tfároi allye, ev dj'divaroch'f vói kon inne Šakha, »
「ふうん?」 « Uh-hu? »
「《
「え?」 « Hé? »
「彼は《
「
「分かるか?」 « Artz šarhanót? »
「うん」 « Lá. »
「彼は──私と同じ軍人で、
「グヮネズ」 « Gwanez. »
「翼のある
「……の、寝床?」 « Ošten, séa? »
「彼と相棒は仲が良かったから。
ラルラーがじっとバルバスの表情を見ていると、彼が言った。
「どうした」 « Háš? »
「それは、なんの感情?」 « Ki, háš lenrót? »
灰色の
バルバスは目尻を下げて口角を上げた。やはりいつもの微笑みとは違う。
「悲しい……いや、懐かしい──たくさんの気持ちだよ」 « Uró dormiir…… né, joriir — ná, lenró lor maliir. »
「たくさん?」 « Lor maliir? «
「そう……人は一度に多くの色を抱くことがあるんだ……」 « Lá …… refte, Anheri ranolóf Fómérna lor malír…… »
「ふうん……」 « Uh-hu…… »
《
「君の《
「うん」 « Lá. »
《
「もう休んだ方がいい。夜更かしをするとソルハに怒られてしまうからね」 « Uróf Niro hár Ošteia. Ront novariša kain erakiir, zartz Solkha el'mávikóf inghiir erwi.
「うん」 «Lá. »
「おやすみ」 « Vároi dayii. »
二人は小さな天幕に入り、くっついたまま眠った。
外では、
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