大海原の祖 編
それは、神話の時代より古く、この大地が生まれる時までさかのぼる。
大地は灼熱に燃え、けして消えることのない火の川が流れていた。
生きるものは外からやってきたやってきた者のみであり、ここに新たな生き物が生まれる余地が一切ないかと思われていた。
それは、突然現れた。
最初はなんてことのない小さな小さな氷の粒であったが、幾十、幾千、幾億にもなる氷の粒が大地に突き刺さり、火の川を動かぬ大地へと変貌させていく。
そして、外からやってきた者が住めぬ地に作り替えることにより、この地の奥深くに封じることになる。
氷は大地を動かぬものに変えると役目を終えたのか、溶けていく水となりそれは一つに集まり大海原は形成した。
それが祖である。
祖は、灼熱の大地をかえ、われらの居住区を整えてくれた。
それからの祖は、幾年もの月日が経つと現れた原始のわららに恵みをもたらしてくれた。
それは、雨とし、時には洪水によりわれらを洗い流こともあれど、われらを助けてくれもした。
その力は、われらの器に収まることはかなわない。
力の一遍でも入ればわれらは形を保つことはできないだろう。
それでも願い祀るは、祖が祖たるゆえんである。
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