一見なんの役にも立たない能力を覚えた!?これは最強の能力だな!
三国洋田
第1話 変な能力覚えた
「おおっ、独身彼女なしアラサー無能メタボ野郎サラリーマン日本人の『
目の前にある大きな白い光の球体から、若い女性のような高い声が聞こえてきた。
なんだこれは?
なんでこいつは俺のことを知っているんだ?
超能力ってなんだ?
なんで語尾に『ざます』が付いているんだ?
訳の分からないことだらけだな。
「私ちゃんのことは気にするなざます」
いや、さすがにそれは無理だろ。
普通に気になるぞ。
「ふう、やれやれ、
なんだそりゃぁっ!?
ひどい誤解だぞ!?
「まあ、それはどうでもいいざます」
いいのかよっ!?
「それよりも、能力ざます。
頭に入れる!?
どういうことだ!?
「そのうち分かるざます。では、せいぜい有効に使うざます。さらばざます」
球体がそう言うと、俺は白い光に包まれ、意識を失った。
目が覚めた。
見覚えしかない天井だ。
ここは俺の部屋だな。
まあ、当然だけどな。
それにしても、あれはなんだったのだろうか?
やけにリアルだった気もするが、夢だよな?
うーん、どうなんだろう?
まあ、どうでもいいか。
変な夢を見たということにしておこう……
うぐっ!?
きゅ、急に頭痛が!?
えっ!?
な、なんだこれは!?
覚えたのは『一見なんの役にも立たない能力』という超能力?
能力は使用したいと思うだけで使える?
消えろと思えば消える?
なぜかそんな言葉が頭をよぎった。
頭痛が治まった。
な、なんだったんだ、今のは!?
ま、まさか本当に超能力を使えるようになったのか!?
ちょっとやってみようか!
俺は能力を使用したいと思った。
すると、体から何かが抜け出るような感覚がした。
その直後、目の前に白い半透明の球体が現れた。
大きさは手のひらサイズ。
宙に浮いている。
な、なんだこれは!?
まさか本当に超能力が使えたというのか!?
す、すごい…… のか?
どうなのだろうか?
そもそもこの球体はなんなんだ?
何かの役に立つのか?
よく分からんな。
ちょっと触ってみようか。
手がすり抜けてしまって、触ることはできなかった。
これは立体映像なのかな?
ええと、これはどうすれば良いのだろう?
とりあえず、いろいろやってみようか。
こいつは動かせるのかな?
俺は球体動けと思ってみた。
……なんの反応もないな。
俺は球体消えろと思ってみた。
球体が消えた。
俺はまた能力を使用したいと思ってみた。
また目の前に白い半透明の球体が現れた。
もうひとつ出ろと思ってみた。
出て来なかった。
出せるのはひとつだけなのか。
その後、球体にしゃべれ、大きくなれ、回れ、美女になれ、一発ギャグをやれ、火を出せ、金を出せ、なんかやれと命令してみた。
だが、なんの反応もなかった。
これはまさか、球体を出したり消したりするだけの超能力なのか!?
そんなのなんの役に立つんだよっ!?
本当に名前通り、なんの役にも立たない能力なのか!?
いや、まだだ!
そう判断するのは早計というものだ!
こういう能力には真の力とか、何かすごい使い方とかがあって、実は最強だというのが定番だ!!
そういうラノベはたくさんあるし、こいつにも必ずあるはずだ!!
うん、そうに決まっている!
よし、もっといろいろと検証してみよう!!
とはいえ、何をすれば良いのだろうか?
うーん、そうだな……
そういえば、こいつは『一見なんの役にも立たない能力』という名前だったな。
この『一見』というのがポイントなんじゃないか?
これは確か『一度見ること』という意味の言葉だったよな。
なら、何回も見たら、この能力の真の力が発揮されるとか!?
おおっ、なんかあり得そうな気がしてきたぞ!
よし、さっそく試してみよう!
とりあえず、球体を二度見してみようか!
一度見て、視線を外す。
そして、素早くもう一度見る!!!
さあ、どうだ!!
一見なんの役にも立たない能力よ、我が前に真の力を示すのだ!!
しばらく待ってみたが、特に変化はなかった。
もしかして、二度見ではないのかな?
ということは、三度見が必要なのか!?
よし、やってみよう!
やってみたが、変化はなかった。
くそっ、ならば四度見だ!
しかし、なんの変化もなかった。
おのれっ、こうなったら五度見に挑戦だぁぁぁっ!!!
残念ながら、何も起きなかった。
その後、さまざまな角度から何度も球体を見てみた。
だが、真の力は見つからなかった。
くそっ、いったい何が足りないんだ!?
見る回数か?
それとも見る速さか?
くっ、まったく分からないぞ!?
ん?
もう夜か。
疲れたから、ちょっと休憩にしようか。
いろいろやったから、汗をかいてしまったな。
ちょっとシャワーを浴びてこよう。
浴び終えたら、なんだか眠くなってきたな。
かなり早い時間だけど、もう寝るか。
そういえば、検証で休日が潰れてしまったな。
まあ、いいか。
特にやることなんてなかったからな。
次の日。
ああ、よく眠れたなぁ。
疲れていたからかな?
今日は仕事かぁ。
あ~、面倒くさいなぁ。
だが、真の力が判明するまでは、辞めるわけにもいかないよな。
仕方ない行くか。
さっさとやって、さっさと終わらせよう。
俺は支度をして、会社に向かった。
なんか腹が減ったな。
そういえば、昨日は能力の検証に夢中で、何も食べていなかったな。
我ながらすごい集中力だ。
うぐっ、腹が鳴った……
これはマズいな。
その辺で何か食べて行こうか。
会社に着いた。
さあ、さっさと仕事を終わらせてしまおう。
そして、能力の検証を続けよう!
仕事を早く終わらせるために、懸命に働いた。
その結果、定時までに仕事を終わらせることができた。
さあ、早く帰って検証だ!
では、お疲れ様でした!
帰宅し、またさまざまな角度から球体を見てみた。
だが、何も見つからなかった。
これは別なアプローチが必要なのだろうか?
そうなのかもしれないなぁ。
だが、それはなんだろうか?
うーむ、まったく思い付かないな。
まあ、とりあえず、それが思い付くまでは球体の観察を続けてみるか。
ええと、次は一万三十二度見だったな!!
よし、やるぞ!!
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