『逆』転生の異世界勇者~魔王を倒して現代日本に転生したけど、異世界から来た連中が俺を処刑しに来たので返り討ちにしてもいいですか?~

ああああ/茂樹 修

『逆』転生の異世界勇者

プロローグ 産まれた理由

 そこに勇者がいた。英雄と持て囃され、明日も知らぬ人の未来を守るべく、王道を往く男がいた。


 そこに魔王がいた。王の座に祭り上げられ、幾千幾万の怨嗟を一身に受け、覇道を歩む女がいた。


 剣を交えた。魔法を打ち合い、その拳で殴り合い。月が赤く輝く夜に、その決着は果たされる。


 魔王が逝く。全てを賭け、負けた女は笑って逝った。その身を焦がし続けた渇きが満たされた事を知って。


 勇者は願う。勝利の代償として己が死を悟った男は、その役目に似合わぬ些細な事を願った。


 もしも、生まれ変われるのならば。


 剣も魔法も必要のない、遠い遠い平和な世界であって欲しいと。


 瞼を閉じ、そんな淡い夢に微睡むように……その生涯に幕を下ろした。






 ――で、俺が産まれたってわけ。

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