天照、魏へ援軍を送る
らんた
天照、魏へ援軍を送る
ここは西九州新幹線の建設現場。そこでとんでもないものが発掘されたのだ。石棺の中にあった木箱に入ってるそれは『
九州総合大学の考古学教授山下英雄はその古文書の内容にもびっくりした。
「蓬莱の国に残す」と最後に記されていた。当時の中国人にとって日本は東に位置する蓬莱の国なのだ。かと思いきやこんな東の夷の国に頼りがってという魏への批判も記されていた。ばれたらまずかったのだろう。これが中国本土ではなく日本でわざわざ記され、ここ日本に史書を隠した理由でもあるのだ。
さらに読み進めていくと……。
「ばかな!?……いや、やはり!」
やはり日の巫女=卑弥呼=天照であり「天照大神」とは襲名にして現人神だったのだ。そして卑弥呼の奴隷として墓に埋められたのではなく魏の援軍として中国に送り出されたと書いてあるのである。つまり奴隷は中国に「輸出」されていたのだ。それどころか選ばれし奴隷は本国へ戻ると重鎮として採用された上、卑弥呼の墓に一緒に埋葬される権利を得られたというのだ。まるで
なんと邪馬台国は魏の援助を受け軍事強国になり、
そしていよいよ邪馬台国は出雲勢力に何度も攻める事となる。それも軍事力で殲滅するのではなく文字通り国譲りを迫っていたのだ。日本神話は単なる作り話ではなく、史実だったのだ!それどころか卑弥呼=天照軍は出雲勢力を倒す前に
そしてアメノワカヒコがアメノサグメの助言に従い邪馬台国つまり天津神側を裏切ってシテタルヒメと結婚する場面もそのままであった。
最後は卑弥呼=天照軍は国譲りに対する抵抗勢力を追って諏訪まで落ちのびたタケミナカタを制圧する。
この時邪馬台国は「大和の国」として、つまり文字通り日本国誕生となるわけである。遷都も行われ佐賀から奈良へ遷都している。
「つまり、日本という国は魏が作ったようなもの!?」
中国に渡った邪馬台国軍は赤壁の戦いにも参加したのであろうか?
また同時に
この発見により日本人も三国志の戦乱に巻き込まれたことを意味する大発見となった。そして日本国の誕生は推定西暦二五〇年ということまで分かったのである!
もちろん、ようやく……ようやくの事だが「邪馬台国九州説」に決着がついた。
日本はこの時偉大なる発見をした考古学者を失ってしまったのだ!
……そして歴史はまた権力者によって書き換えられてしまったのである。
学会に所属する研究者たちは「なぜ教科書を元の記述に戻したのか」を請求開示した。帰って来たのはいわゆる『のり弁』であった。
「変わっちゃいない。何も変わっちゃいないんだよ。この国は歴史を『物語』や『ファンタジー』だと思ってるんだ。都合の悪い物語なんて見たくねえんだよ」
墓に水をかける。
「『history』を『his・story』だと思ってやがる……『historia』って『知の探求』って意味なのにさ」
墓に線香をあげる。
学者たちは山下英雄の墓の前で泣いた。
=終=
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