103、堕ちる者と救う者
次の日、
「お、おい!ちょっと
クリファの
しかし、途中で電話が
比較的落ち着いた声で、俺は
「待て、何かあったのか?」
「
慌てて出て行こうとするクリファを、俺は黙って
その声は、俺自身驚くほどに
「良いから落ち着け。何があったんだ?」
「……ニアが個人的に行っている
「…………それで?」
「結果、どうやら自分の人生を
そうか、お前はそれについてどう
「……………………?」
言っている
だが、待っている
「お前は自分の人生が茶番だと思っているのか?全てが茶番だと、自分の想いや苦悩の全てが茶番だとそう感じているのか?
「…………
クリファの口から、絞り出すような激しい
そんな彼の言葉の続きを、俺は待った。そして、クリファの
「違うっ‼俺の
「……そうか、じゃあ行くぞ」
そう言って、俺はクリファの腕を黙って
「
瞬間、俺達はその場から
・・・ ・・・ ・・・
「ニアっ‼」
「クリファ……君」
どうやら、今ようやく俺達の
そんなニアに、クリファは真っ先に飛び掛かり自殺しようとしていた彼女を何とか止めた。
勢い
「っ、どうして!どうして自殺なんか!
「クリファ君、放して……死なせて」
「っ!?」
ニアは涙を流していた。無表情のまま、虚ろな
その表情に、クリファは思わず
「こんな、全て茶番でしかない
「…………っ」
血を吐くような、それでいて絶望に染まり切ったような言葉だった。
その絶望の言葉に、クリファは身体を
クリファのこの感情は……
「お願い、そうでなければ私を殺して。クリファ君に殺されるなら、私は……」
「っ、馬鹿野郎‼‼」
クリファは声の限り
あまりにも強く殴りつけたのか、その拳から血が
何処までも強く、怒りに染まった
「……クリファ、君?」
「そんな事、例えどんな事があろうと口にするな。ニアが死んだら俺も死ぬ」
「っ!?」
瞳だけは強く、ニアを真っ直ぐと睨み付ける。
「……ニア、俺はお前が
「それ、は……」
「お前が居なきゃ、この
ニアの居ない世界に、価値などありはしない。
真っ直ぐニアの瞳を睨みながら、クリファはそう
「全て
「そ、れは……」
「お前はどうなんだ?こんな俺の事なんか、
真っ直ぐ
しばらく視線をさまよわせた後、ニアはようやく口を
「私、だって……私だって、クリファ君の事が大好きよ。決して、偽りなんかじゃないんだからっ」
「だったら、断じて茶番じゃないだろう?……少なくとも、それだけの
その
そう、決して
ニアとクリファは、しばらく互いに
少なくとも、俺にはそれだけの価値を感じた。
・・・ ・・・ ・・・
「そう、だったんだ……クロノ君も
互いに抱き合い、涙を流し合うクリファとニア。その二人を
まるで、彼等を
まるで、ユキの心の中の
そして、そのまま俺に視線を
「私が死を
「……ああ、そうだよ」
実際には、俺には仲間達が居たから。俺が
でも、それを俺は敢えて言わない。端的に俺が
まるで、千年もの間ユキの心を
今はきっと、それだけで十分だろう。ただ、黙って俺はユキの
「ごめん。ごめんなさい、クロノ君……」
「大丈夫だよ。何があろうと、俺はユキの
そして、俺は変わらず全てを
俺は決して最後まで諦めたりなんかしない。
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