80、星の女王《アバター》
刹那、架空大陸全土を大きく
それだけで、この威力。俺は彼女の手刀を受け流して
一種の空間転移を応用した
結果、運動エネルギーを失った彼女の手刀は威力を完全に失い力なく
しかし、それで止まる程ユキは
「
「っ!?」
ユキの手には、黄金に輝く
明らかに、地球上に存在する雷の限界を
ユキは今、
考えろ。
ユキの異能は、確かに惑星規模の環境制御能力だった筈だ。なら、これはその延長線にある力に違いない。
つまり、これは環境制御能力を
今まで見てきた異能とは全く
しかし、俺はそれでも
否、焼かれた瞬間には既に再生を
「
「ガッ!?」
手が彼女に
別に、何という事もない。単純な切断という
しかし、
「
「ユキっ‼」
一瞬、ユキは戸惑うようにその身体を
星のアバターたる彼女は止まる訳にはいかない。
そのまま、問題なく攻撃を
「っ……
「ぐ、ぅぅ……」
俺とユキを、全てを焼き尽くさんばかりの
それでも、俺は彼女を抱きしめる。その手を離さない。決して
放せばそこで終わる。放せば、もう届かない。だからこそ決して放さない。
「どう、して……」
「…………?」
「どうして、私を
彼女は泣いていた。泣きながら、
けど、俺には―――
「
「え?」
俺には無理だ。ユキを殺す事なんて、断じて
「ユキ、お前を
「そ、んな……」
悲痛な声で、泣きじゃくるユキ。そんな彼女を強く抱きしめる。
まだ、攻撃は止まない。神の
そんな俺を、ユキは必至に
「殺してよ。お
「いやだ。絶対に、お前を殺さない」
「お願いだから……そうじゃないと。でないと、私は……私、は」
『 』
そんな時、俺とユキの
何もかもが
『ころ、せ……殺せ。殺し合え』
「っ!?」
「っ‼」
その声は男の声だった。何処か
『貴様等になど、お前達など何の
「っ、お父様……」
ユキの言葉に、俺は目を見開いた。大きく目を
お父様。つまり、この声の
つまり、彼女を星のアバターとして生み出した全ての元凶。全ての
その声は、全てを深く
『殺せ、殺せ、殺し合え……この
「
俺は、その声に向かって口を
そうだ、俺は今怒っているんだ。何に?この
「お前が何に対して
けど、それでも……
「
『……っ』
俺の怒りが。俺の
ただ、静寂だけがその場を満たして流れゆく。
そんな俺を、ユキは
そんな俺に、ユキは呆然とした声で
「クロノ、君……?」
「何だ?」
「どう、して?」
どうして、か。それは一体どういう
どうしてそこまでしてユキを
それとも、どうしてそこまで
或いは……いや、そんな事はもうどうだって良い。
例え、そのどれであったとしても。或いは
「ユキの事が
「っ」
そう、俺はユキの事が大好きなんだ。それ以外に、理由なんてない。
何時だって皆の為に
俺は、誰かを
「俺はきっと、
「…………っ」
結局、俺は最後まで英雄失格だ。誰かを救う為に他の誰かが
俺は
だけど、だからこそ手元にあるこの大切な存在だけは決して
断じてそれだけは
「……そう、か。そうだったんだ」
気づけば、ユキは涙を流していた。静かに泣いていた。
けど、
「けど、ごめんなさい……」
「え?」
ユキは俺を無理矢理振りほどいて……
「最終コード、入力完了……
だが、それの
それの矛先、それは……
「ユ、キ……?」
瞬間、俺の目の前でユキは
……え?
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