第90話 触るにゃ!! 半魚人に足を掴まれるルル
ボーサ 「まっ、待ってくれ! 仲間の態度が悪かったのは謝る! この通りだ!」
ボーサがクレイの前に慌てて飛んできて額を地面に擦り付けた。それを見てズウとキムも慌てて横に並んで土下座した。
ボーサ 「キムも本気じゃなかったんだ!」
クレイ 「…そうか?」
ボーサ 「…っ! そうだよな、キム?」
コクコクと必死で頷くキム。
キム 「いや、あの、本当に……冗談だったんだ。というか、冒険者としての常識を教えてやろうと思っただけなんだよ…」
ボーサ 「ちょっと意地悪な言い方をしたが、こいつの悪い癖なんだ! その辺はしっかり教育して置く! 二度とこんな真似はさせない、約束する!」
クレイ 「…まぁ、お前は止めようとしてたみいだったしな。キムも俺に向かって引き金は引かなかったからな。
まぁ、俺も悪趣味だったしな。奪われる可能性があるのを分かっててわざと武器を渡したわけだから…」
キム 「っそ、そうですよ~旦那も人が悪い」
クレイ 「だが、気の短かい相手だったら今頃死んでてもおかしくないぞ?」
キム 「…すっ、すみませんでした!」
クレイ 「ああ、もういいよ……ボーサとか言ったか? お前がリーダーなのか?」
ボーサ 「そうだ」
クレイ 「三人でパーティを組んでる?」
ボーサ 「ああ、“鉄の爪” と名乗っている」
クレイ 「階層の獲物を根こそぎ狩ってしまったのは悪かったな。いま倒したオークを何体かやるから持って帰っていいぞ。上層への階段まで送ってやるから今日はそれ持って帰れ」
ズウ 「いいのか? それはありがてぇ!」
ボーサ 「…あんた達は? まだ先へ進むのか?」
クレイ 「ああ、もうちょっと進んでみるかな」
* * * *
ボーサ達と別れた後、再び階層を進むクレイ達。
クレイとしては、なるべく様々な状況の経験を猫娘達にさせておきたかった。今後、兵隊は二人だけではなくもっと増やす予定であるが、その教育を二人に任せる事を考えていたからである。
獣人である姉妹は、実は身体能力も極めて高い。素手や剣などの武器を持たせても、普通の人間よりはかなり強い。それはクレイも理解してはいたが、クレイが作ろうとしているのは魔導銃を装備した部隊なので、まずは銃を使った戦術について憶えてもらいたかったのだ。
次の階層、七階層目は湿原フィールドであった。
ルル 「フギャ! 泥の中に足突っ込んだにゃぁ…」
クレイ 「気をつけろよ、この階層は川や沼・湖が多く、歩ける
ルル 「ここはあまり好きじゃないにゃ」
クレイ 「猫族にはちょっとシンドいか。まぁ俺も好きなフィールドじゃないから、最短距離でサクッと通過してしまうかな」
この階層については、冒険者ギルドで
クレイ 「魔物が近づいてくるぞ…」
リリ 「なんか銛を持ってるにゃ」
クレイ 「
リザードマンはかなりの強敵で、中級の冒険者も苦戦するレベルである。とは言え、魔導銃の敵ではないため、簡単に一掃できたのだが。
さらに奥に進むと大きな湖があった。どうやら湖の対岸に次の階層へ続く階段があるらしい。
リリ 「ぐるっと回るとかなり遠回りにゃ…」
ルル 「そこに船があるにゃ。湖を渡るにゃ」
何故か、湖のほとりに一層の手漕ぎボートがおいてある。
クレイ 「それは冒険者が残していったものではない、ダンジョンの一部らしいぞ」
ルル 「つまり、罠にゃ?」
リリ 「…ほんとにゃ、ガイドブックにそう書いてあるにゃ。ボート自体は普通のボートにゃ。ただ、湖の中には水中型の魔物が居るらしいにゃ」
クレイ 「さて、どうするか……ボートに乗って最短距離を行く事も、魔導銃があればできそうだが…ボートが転覆させられるようなアクシデントがあると、泳いで渡る羽目になるな」
ルル 「歩くにゃ」
リリ 「迂回するにゃ」
どうやら二人は湖に落ちるのはかなり嫌らしい。
クレイ 「ああ、猫だもんな…」
湖を迂回していく事にしたクレイ達。よく見ると、湖の中に、何かが泳いでいる影が見える。
ルル 「何か居るにゃ」
クレイ 「魚…のシルエットじゃないな?」
リリ 「魚も居るらしいにゃ、けど、この湖にはスライムが多いとガイドブックに書いてあるにゃ」
クレイ 「ああ、水中型のスライムが居るって聞いたことがあるな」
それが気になるのか、ルルが湖に近づいて覗き込む。
クレイ 「おい、あまり湖に近づくなよ、サファジンが居るらしいぞ」
クレイの言葉がフラグになったわけではないだろうが、案の定、湖の中から突如として飛び出してきた。水中に引きずり込もうというのか、ルルの足を掴んだ。
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