第23話 君も今日から冒険者だ(ただしFランクスタート)
クレイ 「ところで、試験は合格って事でいいんだよな?」
サイモン 「ああ、当然だ。今日からお前はFランク冒険者だ…
…不満か?」
クレイ 「いや、別に?」
サイモン 「ああいやみなまで言うな気持ちは分かる、お前が気絶させた
クレイ 「いや、別に?」
サイモン 「だが、まだまだ冒険者として知らなければならない事はたくさんあるんだ。模擬戦で一度勝ったくらいで~」
クレイ 「だから別に不満などないっつーの!」
サイモン 「へ? そうなのか?」
クレイ 「俺は冒険者の身分証さえ貰えればいいんだよ、それで街の外に出られるからな。依頼とか受ける気はないしな」
サイモン 「何のために街の外に出るんだ?」
クレイ 「そりゃ、魔導銃の実験のためさ。街の中ではできない事が多いんでな。魔導銃の実射テスト※では苦労したからな…」
※街中では威力が強すぎて、仕方なく庭に深い穴を掘って地中に向けて撃ったのだが、それでも音と振動で少し騒ぎになってしまったのだ。
サイモン 「あー」ナルホドネ……
クレイ 「それと、魔物相手に実射テストをしたいしな」
サイモン 「魔物を狩るつもりなのか? 魔物を甘く見るなよ?」
クレイ 「ああ、分かってるよ、気をつけるつもりだ」
サイモン 「魔物と戦うなら、やはりパーテイを組んだほうがいいだろう。だが、そうなると、依頼は受けませんというわけにもいかなくなるぞ?」
クレイ 「まぁその辺も、おいおい考えるさ。どうしても必要な時だけ、依頼を出して冒険者と雇うって方法もあるだろうしな」
サイモン 「…まぁ、何か困った事があったら、些細な事でもいい、俺に相談しろ。お前の父親の手前、お前に死なれても困るんでな」
肩を竦めてみせるクレイ。
サイモン 「もういいぞ。受付に行ってギルドカードを受け取って帰れ」
サイモン 「あー待て! そういえばお前、ポンポンとマジックバッグからモノを出し入れしているが、気をつけろよ? マジックバッグは最近多く出回り始めたとは言え、まだまだ高価だ。強盗にあうかもしれんぞ?」
クレイ 「そうだな、気をつけるよ」
最近出回り始めたマジックバッグは実は全てクレイが作ったものである。それでクレイは大金持ちになったので、冒険者としては稼ぐ必要もないのだ。
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時刻はまだ昼過ぎ。少し外で実弾射撃をしてみたい。街の外なら魔導銃を思い切り撃ちまくれる。街中での窮屈な実験でフラストレーションが溜まっていたのだ。
先程の模擬戦で消耗してしまった身体強化用の魔導具の魔力は、時間が経つと自然に回復する仕組みである。これもクレイの研究(解析)の成果である。
これまでも周辺に存在する魔力を吸収して自力で永久稼働し続ける魔導具というのは存在していた。だが、それはごく微弱な魔力を集めることしかできなかったため、用途が限定されていた。(微弱に光る夜光塗料とか、自動でゆっくり揺れ続ける装飾品など。)
クレイはそのソースコードを見直し、効率化したのだ。そして、再充填可能な魔石と組み合わせる事で、自力で自然回復する魔導具が完成したのである。
クレイの身につけている魔導部の
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街の城門。
門番 「初めて見る顔だな?」
クレイ 「ああ。ついさっき、冒険者登録した新人だ、よろしくな」
門番 「さっき? 他に誰か居ないのか? なに、一人で街の外で出る? 新人が一人でか? おいおい大丈夫か?」
クレイ 「せっかく冒険者になったんだ、ちょっと街の外に出てみたいんだよ」
門番 「冒険者になって嬉しがってるのは分かるが、気をつけろよ? 外には危険な魔物が~」
あ~大丈夫、そんなに遠くには行かないからと手を振って門番を振り切って外に出たクレイ。
街の周囲は荒野で、少し先に森が見える。
クレイ 「森まで行ってみるか」
クレイは
徐々に木が増えていき、やがてすっかり森の中である。(特に明確な境界線はない。)
すると、目の前にぴょんと白い兎が現れた。クレイと目があった兎は、可愛らしく首を傾げると、そのままクレイに向かって飛びついて来た。
この兎は、額に長い角を生やしたキラーラビットという魔物である。外見が可愛らしく、体も小さい。仕草や動きも可愛らしく、あまり驚異を感じさせないのであるが、実は肉食で非常に好戦的で、その強力な脚力で瞬時に飛びかかり、その長く鋭い角を獲物に突き刺して殺して食べるのである。
初めて外に出た冒険者が、外見に騙されてその頭突き攻撃を受けて大怪我をしたり殺されてしまったりする事がよくあるので、別名「初心者殺し」とも呼ばれていたりする。
クレイに対しても即座に飛びかかってきたキラーラビットであったが、既に銃を構え狙いを定めていたクレイによって撃ち落とされた。
キラーラビットは即死、クレイより手前で地面に落ちて動かなくなった。だだ、弾丸は兎の体を貫き、後ろの木を何本か貫通し、岩に当たってやっと止まった。
クレイ 「おっと、貫通力が強すぎるか。狩りならやっぱり散弾だよなぁ」
クレイは周囲に敵が居ないのを確認すると、素早くライフルのリボルバー部分をスイングアウトさせて弾を入れ替える。六発中五発を小さめの
再び森を歩き始めるクレイ。
すると、遠くに緑色の小人が一匹居るのを発見した。
森の妖精ならぬ
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次回予告
油断して囲まれるようです
乞うご期待!
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