第7話 なにこの羞恥プレイ?
なんとか自力で立ち上がれるようになり、片言であるがコミュニケーションも少しはとれるようになったクレイは、オムツにするのではなくトイレに連れて行ってもらう事を要求し、その願いは叶えられた。叶えられたのだが……
クレイ 「出てってよ!」
メイド 「気にせずにどうぞ」
クレイ 「いやだよ、出てて!」
メイド 「何故です? 恥ずかしがることはありませんよ、まだ子供なのですから」
メイドにトイレに連れて行ってもらったまでは良かったのだが、メイドも一緒に個室に入ってきたのだ。
メイド 「恥ずかしがる必要はありませんよ、まだ二歳の赤ちゃんなんですから。ちゃんとできるか、危ない事がないか見守る義務がありますので」
クレイ 「なにこの羞恥プレイ……」
いや確かに、二歳児であれば見られても気にする必要はないのかも知れないが、クレイの中身は三十歳のオッサンである。若くて美人のメイドに毎回排泄するところを見られるのはなんだかとても屈辱的であった。
しかも、メイドはなぜかしっかりとクレイの局部を覗き込んでくるのだ。
メイド 「外に溢さないようにチェックしてるんですよ」
などとメイドは言うが、よく考えたら外に溢そうが、どうせ【クリーン】でキレイにできるのだから一緒だろうと言う事実には、クレイはその場では気づかなかった。
ともあれ、
クレイ 「見ないで!」
メイド 「駄目です、坊っちゃんの健康をチェックする意味もあるのですから」
排泄後は、メイドが【クリーン】でキレイにしてくれるのだが、「坊っちゃんの健康管理です」と行って毎回出したものを観察されるのも屈辱的であった。
今はまだいい。中身はともかく外見は赤ん坊に近い幼児だ。だが、【クリーン】が使えないクレイは、この先もずっと、トイレに行く度に
そもそも、このメイド、なんだか危しい。何か妙な趣味でもあるのではなかろうか。成長してからも、なんやかやと理由をつけてクレイの排泄を観察しようとしたりしないだろうか?
だが、その問題はクレイが大きくなるまえにあっさり解決した。両親が【クリーン】の魔法を封じ込めた “魔道具” を用意してくれたのだ。
魔道具とは、道具に魔法陣を刻み、魔法と同様の効果を発現する道具である。
もちろん、魔道具を使うのにも魔力が必要である。
基本的には、魔道具は使用者の魔力を注ぐ事で効果を発動する。効果は注いだ魔力量次第である。
ただし、直接魔法を使った場合に比べると効果がかなり落ちる。そのため、貴族の間では魔道具はあまり普及していないのであった。
ただ、魔道具は、魔石を使う事で使用者の魔力を消費しなくとも使う事ができる。
この世界には動物よりはるかに危険な “魔物” という存在が居る。そのため、人間は街を高く頑丈な塀で囲い、その中で生活しているのだ。冒険者や狩人と言われる職業の者達が、街の外に出て魔物を駆除しているが、根絶には程遠い状況なのであった。
そうして退治された魔物の素材を売って冒険者達は生活している。そのおかげで、魔物の体内にある魔石もそうして安価に出回るのだ。(魔石の有無が、魔物かそうでないかの区別となる。)
魔石を用意さえしておけば、魔力を使わずに魔道具が使えるのだから、平民の間では重宝されるシーンもあるわけである。
(魔石は基本的には使い捨てである。魔力をチャージして繰り返し使用できる魔石もあるが、非常に高価で、この世界ではまだあまり普及していない。)
クレイのために用意された【クリーン】の魔道具は魔力消費量が多く魔石の消耗が早いのだが、そこは平民よりは裕福な貴族の家であるので贅沢に用意してもらえたのである。
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次回予告
自立を考えるようです
乞うご期待!
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