第10話 第2節

開幕節成績

創●vs海○

地●vs空○

氷●vs炎○

鋼●vs獣○

邪●vs聖○



「炎は順当に勝ち、地は負けたのか。意外だな。」


 翌日、発表された成績を眺めて俺はつぶやく。


「そんな意外なこと?初戦なんて戦力差がそんなに無いんだからどっちに転んでもおかしくないじゃない。」


 考え込んだ俺をルイスが不思議そうに眺める。


「もちろん、そうなんだけどね。地のマスターはBランク主体で戦ってるはずだ。順当に等価交換を繰り返していた場合30000ポイントで召喚できる魔物はBランク5体。俺が予想では地、海以外の残りのマスターはAランクの魔物を召喚してるはずなんだ。そうなると初戦の時点でAランク1体とBランク1体になるはず。」


 Aランクのカードが1枚10000ポイントなため1体召喚のコストは20000になるはず。そうなるとどこかで2000ポイント得をしなければ2体目のBランクを召喚するためにはポイントが足りない計算になる。


「それだと何か問題があるわけ?」

「SとBがそれぞれ互角なら相手はAランクの魔物1体でBランク4体を相手にしないといけなくなる。Dランクである程度補うにしてもさすがにこの人数差はAランクでもひっくり返すのは難しいはずなんだ。」


 炎と氷のように相性によっぽど差が無ければなので相性の悪い相手がいたのかもしれないが。


「空の王もBランク主体って可能性は無いの?」


 もちろん可能性としてはあり得るしその場合の戦力は互角になるのでどっちに転んでもおかしくない戦いになるのだが。


「そうなると俺のところにトレードの依頼が来ないのが不思議なんだよね。Aランクを主体とするマスターは自分が召喚できる以上の交換は初戦で自分が負ける可能性が高くなるからやらないはずだし。」


さすがにBランク主体が3人いたらもう1件くらいトレード依頼が来ると俺は踏んでいた。シーズンの対戦表が出るのは初戦の1週間前だったし、Bランクを集めるマスターがいるのならそれ以前にもっとアクションを起こすはずだ。既にAランクを召喚してるマスターは自分が召喚できない場合は自分と対戦する可能性がある敵に塩を送る可能性を考えて交換を控えるはず。そうなるとBランクの交換をしたいマスターが余るはずなのだ。今のところ俺にその情報は入ってきてないので俺はBランクのマスターはあの2人だけだと見ている。Aランクを召喚してないマスターが俺含めて3人いるのでどこかに無理矢理Aランクのトレードを成立させたマスターは居るはずだが。


「まあ、考えても仕方ないか。次の戦いに備えよう。さすがに次はもっと耐えられるようにならないといけないし。」


 とはいえ、次に発表された対戦相手は聖のマスター。スケルトンたちにとっては天敵になりそうな相手だ。


「次の相手は聖ならスケルトンは役に立たないわね。ゴブリンたちも育ててるけど今日になってゴブリンセイバーが1体増えたくらいの戦力しかいないから厳しいわよ。」


 ちなみにルイスを投入してもヴァンパイアにも光属性の攻撃は天敵なので他でどうにかするしかない。


「グロウウィードからトレントに進化する個体はまだ遠そうだよね?キングスライムは戦闘力はスライム増やす性能が上がっただけだし。」


 元々育てていたグロウウィード2体は既にトレントに進化済み。そのうちの1体はヴァルを倒させてドライアドまで進化させたので次にトレントに進化するグロウウィードが生まれるのはもう少し先の見込みだ。キングスライムに関しては戦闘力は進化してもあまり向上してないのでコピースライムに進化するまで戦力として計算するのはやめた。


「たぶん、次に進化するのもゴブリンよ。それが次節までに間に合うかは微妙なラインだけど。」


 聖は初戦勝ってるのでBランクが増えている可能性が高い。交換相手はおそらく同じく初戦勝った獣か空だがどちらにせよ聖の魔物が相手なのは変わらなそうなので厳しい戦いになりそうだ。



第2節

 前回、戦力を全て守備に割いては相手の守備側の魔物が見られないことに気がついたのでゴブリンの攻撃部隊を編成して隠し部屋に隠し、相手の攻撃部隊が奥まで侵入するのを待ってから突入させることにした。防御力に関してはどちらにせよ難しいということで諦めた。Sランクはどうにもならん。


「相手の攻撃部隊は虎と槍を持った人型か。」


 侵入してきた敵を見ながら味方に指示を出す。とはいえ、できることはダンジョンに張り巡らした罠を使いながらスケルトンアーチャーやゴブリンアーチャーで遠距離から攻撃しては離脱するのを繰り返すだけだが。そして、その間に攻撃用に編成したゴブリン部隊を敵陣に突撃させる。攻撃用に編制した部隊はいくつかの罠に引っかかり数を減らしながら敵の本陣に相手より先にたどり着いた。


「相手はDランクの魔物は編成してないのか。」


 ここまでにDランクの魔物の姿は確認できていないためおそらく編成されていない。俺としてはDランクの魔物も時間稼ぎには使えるのでガンガン使っていくスタイルだがスケルトンのように倒しても復活する魔物で無ければ倒せば数が減ってしまうため経験値にして出せないダンジョンもあるはずだ。


「こっちがSランクみたいだな。」


 そうこう考えている間にゴブリン部隊は敵の天使型の魔物に瞬殺された。後ろに飛んでいる魔物もいたのでこの2体が敵の防御側の魔物だろう。ゴブリンセイバー2体とゴブリンメイジ1体を一瞬で焼き払った力はSランク以外でこれだけの出力は出ないだろうというパワーだった。


「さて、こっちはどうか。」


一足遅れて敵の攻撃部隊もこちらの本陣にたどり着く。敵の虎がこちらの前衛であるトレントに食らいつく。それと同時に口から炎を吐き出し一瞬でトレントはやられてしまった。


「フレイムタイガーか。それなら一応、キャノンダイルで有利だけど。」


 キャノンダイルの水属性の砲撃でフレイムタイガーを狙うがもう片方の女性型の魔物に槍で砲撃を切り裂かれる。キャノンダイルに化けたコピースライムでさらに砲撃するが連続攻撃は簡単に防がれてしまった。


「お返しってか。」


今度は女性型の魔物が持つ槍が光を放ち始める。光を槍の先に集めるとそれをキャノンダイルたちに向けて解き放つ。威力は先ほどの天使ほどでは無かったがそれでも大きなダメージを受けたキャノンダイルたちにフレイムタイガーが襲いかかる。ドライアドが防御魔法を発動するも木属性のドライアドの防御魔法はフレイムタイガーを止めきれない。相性の悪いドライアドがフレイムタイガーに倒されるとそこからは一方的な展開になり、こちらの負けが確定した。

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