恋のタイムリミットは3ヶ月（恋タム）

プロローグ 僕が彼女のことを好きになったのは・・・

僕が彼女のことを「好き」と強く意識しだしたのは、クリスマスイブに電話口の向こうの彼女が放ったある言葉だった。

拓実（たくみ）と智花（ちか）はクリスマスイブとクリスマスという、世間一般の人は恋人と過ごしたくなるであろう、カップルたちが1年で1番集うこの大事な2日間に合計4時間電話することになった。

この時点で拓実は智花に対して何らかの感情を抱いていたが、クリスマスイブの彼女のなにげない言葉が僕をさらにキュンキュンの渦へと巻き込んだのだ。

それはTwitterのトレンドにクリぼっちが毎年入っていることが話題に挙がった時だった。2人で「クリぼっちってホントにたくさんいるんだね～」などと話していると・・・

「でも、私は君と電話してる時点でクリぼっちじゃないけどね」

果たして電話の相手が全く好きでもない男子だったら、この2日間に4時間も電話した上でこの言葉がすぐに出てくるだろうか。そしてこれを真に受けた拓実は、翌日の智花との電話で好きという気持ちを伝えてみることにした。

女子に、いや、女性に好きという気持ちをこんなにストレートに伝えたこともない僕は時たま緊張ているのか、かなり震えた声で彼女に今の思いを伝えた。拓実が緊張していることは智花にも十分伝わっていたであろう。

しかし彼女は、僕の告白を聞いた上でこう答えた。

「告白なんてめったにされるものじゃないから…まずは告白してくれてありがとう。でも、大学で彼氏とかは作る気はないんだよね」

勇気を振り絞って告白したのに…。一瞬そういうことが頭によぎった拓実だったが、ホントに智花のことが好きだった僕は諦めず、「来月末に2人で映画を見に行く」という約束をすることに成功したのであった。