第7話 今後の方針
水魔法がどこまで飛んでくるかわからないため、水魔法で何かしらが抉れる音がしなくなっても念のために全力で走る。
「危なかった」
森を出たあたりで走りから歩きに変え、息を整えながら最初にいた場所に向かっていく。
勝てはしなかったが今日の捜索で分かったことがある。俺と一緒に召喚されたと思う人たちは一緒の場所に召喚されなかったか、まだ召喚されていないことだ。そう考えれる理由としては。
一つ、知らない場所で目覚めて、寝ている人が近くにいたら起こすはずだ
一つ、生きていくならゴブリンを殺すことになるだろうがそんな痕跡が一つもないこと
一つ、召喚された近くに靴でできた痕跡が一つもないこと
これらのことから違う場所に召喚されたか、まだ召喚されていないか、"それぞれが違う場所に召喚された"かだ
最後のやつの可能可能性が1番高そうだな
こうなると行動方針がだいぶ変わってくる。
まだ召喚されていなかった場合、召喚された場所を見張る必要がある。
それぞれが違う場所に召喚されたのなら、さっきのサメみたいな強いやつが、地上を闊歩している可能性があるから強くなる必要がある。
違う時間に召喚されたのなら、できることはほとんどないから、後者の方をしなければならない。どっちにしろ強くなる必要があるし、住む場所を確保する必要がある。
近くに見張りながら安全を確保できるようなところはないだろうか。そんなあり得ないことを考えながら食べ物がないかなとあたりを探索する。
「あったし、安全を確保できる場所」
条件に合い、安全を確保できるという仕組まれたのを疑いたくなるほどの完璧な場所があった。
・・・・・数分前・・・・・
「召喚された場所に近くて、安全を確保できるなんて都合のいい場所なんてないよなぁ」
呟きながら召喚された場所に戻ってきた
条件の当てはまる場所を探し回ったが、そんな都合よく見つかることはなかった。
しかし、安全を確保できそうという条件を満たす洞窟は結構あった。でも、その場所には必ずと言ってもいいほどクマがいた。しかも番い揃って2匹の洞窟が合計10個はあった。
うん、どんだけおるん!?
全部狩っちゃったけど、絶対残しとったほうがよかったよね。あぁ!肉ガァー!!
とりあえず持てる分は持ってきたから焼いて食うか。
周りに落ちてる乾いた木の枝を集め、準備をするために一旦近くの大きめの石の横に腰を下ろす。
カチッ
「うおっ!」
しゃがむために置いた手がなにかを押した感触がしたと思ったら地面を踏む感覚がなくなった。
2mぐらい落ちたところでギリギリ着地する。
「なんだここ?」
目の前には明らかにおかしな空間が広がっていた。
落ちてきたのは2mぐらいのはずなのに高さは10m以上あり、眼前には数10年は誰も住んでいなさそうな立派な一軒家があった。
明らかに人が建てた物であるため急いで心眼を使い、生きている人がいないか確認する。
もしかしたらここに一緒に召喚された人がいるかもしれない。そうじゃ無くても、人がいるのなら何かしらの情報が手に入るかもしれないと考え、家の外から確認していく。
確認したところ、見える範囲では何もいなかったため、情報を得るために一応あるかもしれないトラップ等に気をつけ近づいていく。
「お邪魔します!」
一応声をあげ入っていき、調べていく
調べた結果、この家は無人であり、所有者の人は研究者か何かであることが予想できた。そもそも俺は、家の床を資料で埋めるような人間を研究者しか知らない。
しっかりとしたキッチンやお風呂、調味料は無いし、蛇口もないしで、使いづらそうではあるが。トイレだけは何故かメチャメチャこだわってあった。しかし、トイレ以外は、キッチンやお風呂ですら資料で埋め尽くされていた。
それでも、一つだけ片付いた部屋があった。そこには一枚の紙がおいてあった。その紙には、この家の所有者は、この塔を登るためこの家に帰ってくることはないので、もしこの家にたどり着けたものがいるのなら、自由に使ってもらって良い。と書いてあった
一応罠であるという線もあったためそれらしいものがないか見て回ったが、そういうのはなかった。
「あったし、安全を確保できる場所」
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