第39話 【歴史的な大会への準備が進む】

 次の日の朝、子どもたちは精力的に5時からのトレーニングを行い、15時からは1年生だけの練習、陸上競技場を全力で走った後に、ロングティーバッティングをやらせた。楽しそうに取り組む彼らをみていると本当にバッティング練習が好きなんだと思う。

 16時から上級生も入れて全体練習をしようと準備をしていたら激しいスコールに見舞われた。雷もひどく滝のような雨となり、グランドは水浸し、いつものように魚が泳いでいた。雨季によく基本練習をした食堂の下にある場所に移動し、いい機会なのであらためて基本練習をみっちりとやった。

 一通り基本練習を終えた後、野手には、バドミントンの羽打ちを、ピッチャーにはシャドーピッチングをやらせていたところ、校長先生から呼ばれたので久しぶりに直接会って様々な話をした。

 いよいよ「甲子園大会」が11月24日から始まるが、子どもたちの最近の調子を聞かれた。真は10ヶ月間に渡って地道な基本練習を耐え忍び、今となってはコーチのポーンも自分の言いたいことを前もって伝えてくれるなど、素晴らしいサポートもあり日本人学校チームに勝てるくらいに目覚ましい成長を遂げてくれたことを伝えた。

 「チンルップラウ(本当か?の意味)」と笑いながら聞かれたので、「チャナダイネーノーンカップ(必ず勝ちます)」と真は笑顔で答えた。校長先生は半信半疑のままだったと思うが、その他何かないか聞かれたので、大会2週間前にハッジャイのソンクラー大学の野球チームと練習試合をしたいこと、「甲子園大会」には選手22名全員を連れて行きたいことをお願いした。

 校長先生は真のお願いを全て快諾してくださり、いよいよ大会に向けた準備は整ったと言ってよい。真の考えでは勝ち負けは2の次でいい。今までの積み上げてきたものをしっかり全て発揮できるように当日をむかえさせてあげたかった。ただ最後は必ず勝てるという強い確信をもっていたのである。

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