王都(地獄)への出発
俺の誕生日から3カ月後
この3カ月は基本シエンと一緒に過ごした。
かなり、楽しい3カ月だった。
そんな天国にいた俺だったが、
「ミネル一ヵ月後から王都に行く。5年はあっちに居るから準備しとけよ。」
幸せに過ごしていた俺はにわかには信じがたい、いや信じたくない父上の宣告が待っていました。
なんでも、俺は次期国王となる予定の王子と同い年だし、地位的にもこのままいけば王子の側近であるため、特別に王子の5歳の誕生日会に
「救いなのは、シエンが一緒に居ることだよ。ホント最悪だ。王都行きなんて。」
「そんなに嫌なんですか?王都は」
「そりゃ、そうだよ。あんな魔境。貴族の付き合いとか面倒だし、なにより王子と王子の側近候補と会いたくない。」
「そんな事お義母さんに聞かれたら大変ですね。」
「確かに、気を付けよ。」
「何に気を付けるの?ミネル」
「そりゃあ、母上の前で、貴族なんてめんどくさいって言わないに決まってるじゃないですかぁ・・・・は、ははうえ?」
「ミネル、少し話があるわ。ちょっと私の部屋に行こうか。」
「え?それって、お話じゃなくてお説教じゃないですか?」
「つべこべ言わずに来なさい?ミネル」
「ふふふ、いつも道理仲良いですね。ミネルとお義母さんは。」
「シエン、そんな事言ってる場合じゃない。助けてぇ」
「今のは、ミネルが悪いです。怒られて当然です。貴族の責務はしっかり果たすべきです。」
「そんなぁぁ」
「いいからさっさと行くわよ。まったくあなたはシエンちゃんが来てから身だしなみもかなり整うようになってきたってのに。まったく」
「ふふふ」
ニコニコと笑うシエンが俺の唯一の癒しだった。
母上にしっかり絞られたあと、俺は自分の部屋に戻り、ベットに寝ころびながら少し憂鬱ながら、王都に思いを馳せた。
出発の日
「ミネル?くれぐれもあっちで貴族なんてめんどうだとか、言わないのよ?」
「ミネル、気を付けてね」
「ミネル頑張れよ~」
「ミネル、ホントに大丈夫?嫌なら残ればいいのよ?」
「ミネル、王都は大変だと思いますが、楽しんできなさい。」
「ミネル、王都行くの辞めなよ。うちの方が楽しいし、猟だって出来るわよ。」
「ミネル、ホントに行っちゃうの?」「行くの嫌、行かないでミネル」
「にいに、行くのヤ」
俺に過保護な家族を宥めながら、俺は父上とシエンと王都に行くのだった。
ちなみに、俺が、家族を宥めたあと、シエンも行くのを引き留められていた。
父上はなかった。
少し可哀そうだった。
「「それでは行ってきます」」
『行ってらっしゃい』
それぞれ、様々な表情をしている。それでも俺達の王都行きを心配し、応援してくれる。俺は、この家族を持てて、幸せだと思った。
「ミネル様、涙出ていますよ」
「気のせいじゃないか?」
「ふふ、そうですね。気のせいだったようです。」
序章(fin)
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