木の夢

 日曜日の湖のある公園で、男は風景をずだずたに切り裂いたんだ。

 そこにあるはずの花が、天道が、水面が物悲しく、いつも以上に美しく見えたからだって。散らばった欠片をそいつは拾い、ペタペタと厚紙に貼ってった。

 完成品をまた八つ裂きにしようという衝動を我慢した奴は、芋焼酎を片手に寂しそうに歴史の中に戻っていったんだ。


 僕かい? あの子より少しばかり長生きさ。


(完)

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