第六十七話 キョウリュウダー! 少女漫画!

『恐竜と人間! 長い年月を超え今! 地上最強の英雄チームが誕生した! 聞いて驚け!』


『恐電戦隊! キョウリュウダー!』


 カラフルな戦士たちが、ナレーションに合わせてタイトルコールをする。


「すごいかっこいいじゃないか!? なんだこの番組は!?」


 シェダルは大はしゃぎで俺の体を揺さぶる。

 そんなに面白そうか?


「子ども向けの玩具販促番組だよ、こんなん見てどうするんだ?」


 俺は150という人間で言えばご長寿に値するおばあちゃんが、子ども向け番組で熱狂する姿を見て冷静に突っ込んだ。


「玩具販促番組……? それはなんだ?」


「曲がりなりにもここに来て5年は立ってるだろ?」


「ここに来て、数週間か数か月で眠りに着いたからな! テレビ番組の内容とか知ったのはここ数日だ!」


 テレビの存在は知っていたのに驚きだ。

 ウトピアには既にあったのか? ……っていうかこのテレビ自体、ダンジョンの資源で動いてるわけであるから、そりゃあるよな……。


「ようするに、ここに出てくる戦士たちが変身する玩具とか、恐竜たちの等身大の玩具を売るわけだよ、そのための宣伝番組だよ」


「そうなのか、上手い商売のやり方だな」


 ……なんで俺は子ども向け番組の経済的な仕組みを教えなきゃいけないのか。

 話をしていると、この番組のOPがサビに突入しようとしていた。


『ほんとの、力は一体、どこにあるというのだろう? 地図の中を探すよりも、心の中を探せ!』


『やっちゃおうぜ!』


「やっちゃおうぜ!」と子どもたちの掛け声……なんか楽しくなってくるな。


「すごい楽し気な曲だな! こっちもワクワクしてくるぞ!」


 シェダルはノリノリにOPを聞いている。

 ……確かにノリが良くて、こちらを冒険に誘い込むような、そんな雰囲気がある。

 OPが終わり、玩具やOPのCDのCMが流れた後、本編が始まった。

 果たしてどんな内容なのだろうか?


『英雄譚20話! 荒れるぜ! 少女漫画!』


 ……なんだ?この変なサブタイトルは。

 まぁ、じっくり観てみるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る