詩集

彼女は

いつも

いちばん上の

左から二番目に

座っている


凛と。


わたしは

ときどき彼女の

様子を見に行く


仕事終わりに


穏やかな日曜日の午後に。


幸い今日はまだ誰とも約束をしていないようだった


わたしはホッとして、時間の許す限り


四半世紀前にこの世を去った彼女の


半世紀前に表現された心の音に耳を傾ける



彼女の背景を一切知らないし、彼女について今もこれからもきっと何も背負うことはできないのだけれど、わたしは彼女が「 いちばんきれいだった頃」を知っている


そういう関係が、ここにはある

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