湖を見せられて

湖に魅せられて

うつくしい詩が書きたいと

筆をとってみたものの

自分はと言うと

鼻毛も出てるし

水彩画の勉強も一切して来なかったので、ある

何も書けないでいると

蚊がうでに止まったので

「こんなものでよければ、どうぞ」

とそのままにしておいた

おなかいっぱいになった蚊は

ふらふらと軒先に逃れた

それを紙にしたためてみる

「こんな血でも役に立つのなら、どうぞ一杯!」

偉い先生がこれを見て、詩だと言った。

やっと、詩が書けたのだと声を上げて喜んでいいところなのだが、男は腕を掻いて、無言でいる。


うつくしい詩を書けなくとも、詩の笑顔が見られれば、それも一興…と。


蚊はまだ軒先にとどまっている

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