神の願いを叶えろ!?気まぐれな神々に翻弄される俺は異世界最強を目指す!! Ⅰ部
波 七海
プロローグ 決死の攻防
「ゴルァァァァァ!!」
「オイッ! 戦線崩れてンぞッ! 前衛は踏ん張れッ!」
そこへ、前線で戦う
ここは、アウステリア王国の王都ヴィエナから東へ二日ほどの場所。レヴィンたちは
「何でこんな大軍が……」
レヴィンの近くにいた暗黒導士の呟きが耳に入る。確かカールと言ったか。
そんなのは知ったことか!と思わずレヴィンは心の中で悪態をつく。
そんな暇があったら魔法の一つも放って欲しいところだ。
とは言え、魔法を発動する速さに自信を持つレヴィンですら中々、魔法を使えないでいた。魔法を使うと言っても決して簡単なことではない。体内で魔力を練成しつつ、頭の中で使用する魔法陣を描写し、『
事態は切迫していた。
魔物の奇襲により前衛が突破され、中衛を任されていた魔導士たちは例外なく接近戦を強いられていた。魔法を使う暇がないなら、物理で殴るしかない。
巨大な斧を振りかざして襲い来る
「近寄るんじゃねぇよ、この豚野郎がッ!」
もちろん罵声を浴びせるのも忘れない。
喧嘩は気合なのである。
大声で自身の魂を奮い立たせつつ、敵を威圧するのだ。幸いなことに喧嘩慣れしていたレヴィンは、攻撃を受けることなく立ち回っていた。乱戦の中、レヴィンは魔力を込めた両手を使って、迫り来る
「援護するッ! 魔導士たちは後ろに下がるんだッ!」
その声に貧弱な装備しか身につけることのできない魔導士や弓使いが逃げるようにして後方へ下がる。もちろん、ただで退くほどレヴィンは甘くない。置き土産として暗黒魔法を放つのも忘れなかった。
【
ズガアアアアアアアアアアアアアン!
放たれた火の塊が三体の
撒き散らされた火炎に飲み込まれ、火だるまになり転げまわる
見ると、前衛は完全な乱戦状態で、イザークが鬼のような形相で斬って斬って斬りまくっている。彼はその端整な顔や体に返り血を浴びて全身を赤に染めている。彼の燃えるような赤髪と相まってその姿は
その背後では、イザークの相棒の魔法剣士イーリスがひらひらと舞う蝶のように
【
隣ではカールが
魔物の一体がまともに喰らい、
そこへ他の
敵と味方が入り混じり混沌とした様相を呈する中、レヴィンは味方を巻き込まないように魔法を発動しようとしていた、その時、背後から鯨波のように
「チッ! まだいやがるのかよッ!」
レヴィンが舌打ち交じりにボヤく中、近くで小さな悲鳴が上がる。情けないとは思うが、魔導士や弓使いなどは
現にこの護衛任務には計五組のパーティが参加している。壁役がいないこの状況に、魔導士である彼らが恐怖心を抱くのは仕方がないが、そう言っていては
【
ドガアアアアアアアアアアアアアン!
レヴィンの魔法が炸裂し、
【
レヴィンの『
【
更に大気中から集まってできた氷の塊が三体の
残りの
――これで楽になる。
そう思ったレヴィンであったが、その期待は一瞬で裏切られてしまった。
【
狙いは
しかし、魔法がその首を掻き斬るかに思われた瞬間、
流石は
「チッ! 厄介なッ!」
レヴィンはもっと魔法を身につけてこなかった過去の自分に思わず舌打ちをしてしまうが、全てはあの
レヴィンは
「クソ人間がァッ! 小賢しい真似をしやがってェェェ!」
薄い緑色に鈍く輝く剣の大きな振りがレヴィンに迫る。それを半身になってかわすと、そのまま右拳を
「くそッ! 隙がねぇッ!」
レヴィンの隣では先程、蹴散らされた二人が体勢を立て直して他の
【
至近距離からの必殺の一撃であったが、敢え無くそれは剣に弾かれて霧散する。
ダメージはない。
魔力の欠片がほんの少しだけ顔に傷をつけた程度である。
豚人王がその程度で怯むはずもなく、再び、レヴィンは激しい猛攻に晒される。
怒涛の連撃に息を切らしつつもかわしながら、レヴィンは心からの叫びを吐き出した。
「こん……の……チックショウがッ! ここが日本でッ!」
「俺が
「テメェなんぞに押されるかよッ!」
レヴィンは、
そう、実はレヴィンと言う少年は、日本からこの世界にやってきた異世界人なのである。
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