12話
次の日、目が覚めると私は動けないでいた。
え?金縛り…!?そう思っていると、横から声がする。
「あ〜かずきだぁ…おはよぉ〜」
身体が動かないので頭だけ動かし横を向くと朝日がいた。
そうだ…朝日が泊まりに来てるんだった…。
寝起きの朝日におはよーと挨拶をする。
そして、なんで動けないのか考える。
うん…思い出した。
「ね、ねぇ…朝日…」
なぁにぃとまだ寝ぼけてる様子の朝日に問いかける。
「もしかして私昨日からずっと抱きつかれてたの…?」
「ん〜?そうだよぉ…」
「そろそろ離してもらえると嬉しいなぁ…」
「えぇ〜…やだやだぁ〜…」
駄々をこねる朝日をなんとか説得し、離してもらう…そんな休日の朝を迎えていた。
お昼頃になると朝日が学校で部活の練習の為家に戻った。
そのタイミングでお母さんも帰ってきた。
え…まさか朝日の家に泊まってたの…?と、思ったけど深く考えないようにし、私は現在日課の人助け(もちろんモテるため)をしつつ、デパートに来ていた。
さて、目的の物を買わないと…と考えていると後ろから私を呼ぶ声がする。
振り返るとそこには漆原さんと小さい女の子がいた。
あー!やっぱりかずっちだー!と近づいてくる漆原さん。
挨拶を交わすと、女の子が漆原さんに質問する。
「ねーたん…このおねーちゃんだぁれ?」
「私のクラスメイトの人でかずきお姉ちゃんだよー!」
はじめまして。よろしくねぇと女の子に手を振り、私も漆原さんに質問する。
「漆原さん、この娘は妹さん?」
「そうなの!小学2年生の妹!ほら、お姉ちゃんに自己紹介はー?」
「かずきおねーちゃん、はじめましてー!ゆえはゆえだよー!」
自己紹介をしペコリとする、ゆえちゃん。
うん!かわいい!と思っているとゆえちゃんがなにかを思い出したようで言った。
「あー!かずきおねーちゃんってねーたんがいつも話してる人だー!」
うん?と思っていると漆原さんが焦っているようでゆえちゃんを止めようとする。
「こ、こらぁ!ゆえ!余計なこと言わないの!」
「えー!だってねーたんの好きな人で、抱きついてる人でしょー?私も抱きつくー!」
ゆえちゃんに抱きつかれながら漆原さんの方を見る。
漆原さんは顔を真っ赤にしていた。
「ゆ、ゆえ!おねーちゃん困っちゃうでしょ!離しなさい!」
はーい…と言うとゆえちゃんが離してくれる。
「かずっちごめんね…ゆえが迷惑かけて…」
「ううん、気にしないでいいよー!」
私は内心動揺していたけど大丈夫なふりをした。
まさか妹さんに変なこと言ってないよね…。
心配だったけど怖くて聞けなかった…。
「そういえばかずっちはデパートでなにか買い物?」
「うん、ノートを買いに来たの。漆原さんは?」
「私はゆえと遊びに来ただけなんだー!屋上に小さい遊園地あるじゃない?前に散策で来たときに見つけて、ゆえに教えたら来たがってね」
「あー!あるねー!」
そう。ここのデパートは屋上に遊園地があり、よく子供達の人気スポットでもある。私も昔朝日とよく遊んでいたのを思い出す。
遊園地楽しみー!とゆえちゃんが嬉しそうにバンザイをする。
それじゃあ楽しんできてね!と別れようとすると漆原さんが提案する。
「あ、よかったらかずっちも一緒に行かない?この後予定大丈夫だったらなんだけど」
んーこの後は特に用事はないし…と考え一緒に行くことにした。
かずきおねーちゃんも一緒だー!わーい!とゆえちゃんが喜んでくれている。
うん!やっぱりかわいい!
「それじゃまずはかずっちの買い物済ませてから行こっか!」
私は漆原さんにありがとー!と伝え、まずは買い物を済ませ、屋上の遊園地へ向かう。
屋上に着くと小さい乗り物やUFOキャッチャー、アイスの売店などがあった。
昔と変わらないなぁと思っていると、わー!乗り物いっぱいー!とゆえちゃんが喜んでいる。
「ねーたん!楽しそうだねー!」
「うん!あ、ゆえ!あそこにアイスも売ってるよ!」
「ほんとだー!ねーたんアイスー!」
そう言いアイスを食べたがっているゆえちゃんと三人で売店へと向かう。
なぜかゆえちゃんが私の左手を掴み、漆原さんが私の右手を掴むという形で…。
売店に着くと、メニューの中から私とゆえちゃんがバニラを選び、漆原さんがチョコを選ぶ。
3つで600円だったのだが何故か300円にしてくれる女性の店員さん。
どうしてだろうと考えていると店員さんが壁に貼られたポスターを指差す。
そこにはカップル半額デーと書かれていた。
いや、カップルじゃ…と言いかけると店員さんが、いいから!いいから!と言いアイスを渡してくれた。
アイスを受け取り嬉しそうに席へと走るゆえちゃんと、それを注意する漆原さん。
そして、店員さんにお礼を言う私。
店員さんが、お熱い二人でアイス溶けやすいから注意するんだよぉ!と言っていたが気にしないようにした。
先に席へと向かう、ゆえちゃんの元へと向かおうとした時だった。
ゆえちゃんが、あっ!と叫び、転んでしまう。
「ゆえ!大丈夫!?」
漆原さんが駆け寄り私も急いで向かう。
幸いゆえちゃんに怪我はなく無事だったのだが…。
「うぅ…アイス…」
転んだことでアイスを落として泣きそうになるゆえちゃん。
そんなゆえちゃんに私のアイスをあげることにした。
「おねーちゃん…いいの…?」
「え…でも、かずっちの分が…」
「うん!いいよ!私の分は気にしないで食べて!」
私は本心からそう言う。
小さい時はアイス一つですごく喜んだり、食べれなくなると悲しいもんね。
私からアイスを受け取るとゆえちゃんが嬉しそうにする。
「かずきおねーちゃんありがとー!大好きー!ちゅー!」
そう言い私の頬にキスをする。
「ゆ、ゆえ!?」
ゆえちゃんの突然の行動にびっくりしている漆原さん。
私もびっくりして少し照れていたけど、ゆえちゃんの笑顔が戻ってよかったと思った。
「かずっち、ゆえがごめんね。それとアイスありがとね…」
漆原さんが申し訳なさそうにしているので気にしないでいいよ!と伝える。
すると漆原さんがなにかを思いついた。
「そうだ!かずっち私とアイス半分こしようよ!はい、あーん!」
そう言い私にアイスを食べさせようとしてくれる。
お言葉に甘え、一口もらう。
うん!私はバニラが好きだけど、やっぱりチョコも美味しい!
漆原さんも一口食べると幸せそうな顔をしている。
そうしてまた漆原さんがアイスを一口食べさせてくれる。
「あー!ねーたんとかずきおねーちゃんラブラブだー!」
私と漆原さんのやり取りを見ていた、ゆえちゃんがそう言う。
「もー!ゆえ!からかわないの!」
顔を赤くしている漆原さんと、同じく私も照れていた。
その後、一通り遊ぶと疲れたのか、ゆえちゃんが眠そうにしていたのでここで解散となった。
漆原さんとゆえちゃんと遊べて楽しかったなぁと思っていると、グループチャットに通知が入った。
グループチャットは私、朝日、漆原さん、真白さん、先輩の5人のグループでその誰かから送られてきたみたい。
そして内容を確認して驚く。
高円寺楓 明日、昼の12時予定の空いている者は駅前集合
私は特に予定はなかったので、行けますよーと返事をしてスマホをカバンに入れた。
どうやら明日はなにかあるみたい。
それにしても先輩からお誘いなんて珍しいなー、と考えながら家へ帰ることにした。
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