第115話 明日は立場逆転
買ってきたお肉の残り8枚もジャーキーに調理して収納。
欲しそうに見ている奴はいたけれど、既に1枚やったので追加はなし。
網や調理台の上に清浄魔法をかけ片付けたところで時間を確認。
18時少し前、まだカリーナちゃんが本を読み始めてから3時間経っていない。
以前私が槍の本を読むのに4時間かかった。
おそらくカリーナちゃんもそれくらいはかかると思う。
なら起きてくるまでまだ1時間ちょいある。
新しい料理に挑戦して成功体験を増やそうか。
そう思ったがやめておいた方がいいと思い直す。
今回は材料を揃えた上で書いてある通りにやったから成功したのだ。
だから次回料理を作る前に買物をして材料を完璧に揃えておこう。
なら何をしようか……
そう思う私の足下で、トントンと床を叩いて主張する奴がいる。
今回のアピールは食べ物ちょうだいではないようだ。
遊べ! かまえ! そんな感じ。
仕方ない、少し遊んでやるとするか。
私はアイテムボックスから自作の木球を取り出す……
◇◇◇
木球を投げて『取ってこい』を繰り返すこと100回。
なお回数は数えたから間違いない。
流石に私が疲れ&飽きたので終了。
リビングの隅で壁に背中をもたれかけた状態でべったり床に座り、右手をのばしてラッキー君をなでなで。
ついでに別Windowを立ち上げWeb閲覧で時間潰し。
カリーナちゃんの部屋の方で物音が聞こえた気がした。
時間を確認すると19時02分。
予想通り読了時間は4時間だったようだ。
「お疲れ様。どうだった?」
「ありがとうございます。凄く内容が濃かったです」
「なら良かった」
「すぐご飯にしますね」
ご飯と聞いて真っ先に誰かさんが準備完了するのはいつも通り。
本日のメニューは久しぶりのギリシャ風。
ムサカ、ギリシャサラダ、具だくさんのスープ、もちっとした黄色いパン。
「あの本、今まで聞いた事がないような技まで載っていました。敵を転ばしたりひっくり返したり、投げ飛ばしたり。今までと戦い方が変わりそうです」
うんうん、やっぱりあの本、手に入れて良かったと思う。
あと私の方の成果も報告しておこう。
「技全書の読み直しも結構意味があった。1回目とは違って一般的では無い武器の技を結構知る事が出来たから。鎌とかヌンチャクとか。トランプとかダーツを使う技なんてのも載っていた。あと斧技も結構覚えられたし」
「トランプまで武器としての技があるんですね」
カリーナちゃんも知らなかったようだ。
「うん、投げるだけでも回転させるか真っ直ぐと張るかとか、何枚同時に飛ばすか1枚ずつ連続で飛ばすかとか、投げる範囲を真っ直ぐにするか扇状に広げるかとか」
そう、トランプ技は投げるだけでも20種類以上あるのだ。
更には接近戦用に切ったりガードに使ったりとか。
「……使いこなしている人がいるんでしょうか。トランプをメインの武器として」
「どういう格好で戦っているか見てみたいよね。格好も凝っていたりして。カジノのディーラー風とか、スーツ姿に仮面とか」
そのくらいしか似合う格好が思いつかない。
私の豊かでは無い想像力では。
「確かにそういったコスプレでないと似合わないですよね。またいつかお借りしていいですか。読んでみたいです」
勿論OKだ。
「いつでもいいよ。今日はもう睡眠時間がなくなっちゃうから、明日以降がいいと思うけれど」
「そうですね。ところでテストプレイの話ですけれど、明日の夜に書いて明後日に行くという形でいいですか?」
そうだった、テストプレイの契約書に名前を書く話が本題だったのだ。
今日ではなく明日に書いて明後日に行くという事は……
「勿論いいよ。新マップに行く前に準備した方がいい事がある?」
「物的な問題はないと思います。ただ折角新しい技を知ったので、使えるようになってから行きたいと思ったんです。練習をするなら知っている場所で、知っている敵相手にやった方が楽ですから」
確かに練習するなら知っている相手の方がいいだろう。
それに技を使えるようにしたいというのもわかる。
「わかった。それじゃ明日はカリーナちゃんがメインで、私とラッキーがサブで行こうか。場所は何処がいい?」
「旧要塞が慣れているのでやりやすいです。でもいいでしょうか。私だけの為に」
勿論だ。
「ここまでずっと私とラッキーのレベルアップに付き合って貰ったしね。それに他の人の戦い方を見るのも勉強になると思うし」
カリーナちゃんが戦うのを見たのは、以前ゴーストやレイスの倒し方を教わった時と、オブクラリス相手に戦った時くらい。
だからこの機会にどんな戦い方をするのか見ておきたいのは本当だ。
どうも私の戦い方は一般的ではないようだし。
カリーナちゃんやメアリーさんの反応から鑑みると。
「ありがとうございます。それでは明日、朝食を食べたら旧要塞に行って旧本館や病院跡で少し練習させてください」
「朝食後に旧要塞ね。わかった」
ラッキー君もわかったというような表情で頷いた。
本当にわかっているかは不明だけれど。
そうだ、ラッキー君で思い出した。
報告事項その2があったのだ。
「そうだ。メアリーさんに教わった鶏胸肉そのままジャーキー、作ってみたんだ。こんな感じだけれどどうかな……」
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