第2部閑話集
幕間3 母娘コラボその1 紅焔アグニス 私の故郷の話をしよう。 前編
この話は51話以降~96話開始以前の、とある日の配信エピソードとなります。
95話からそのままお読みいただいて問題ありません。
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Agnis Ch.紅焔アグニス
【母娘配信】紅焔ちゃんはママに物申す【紅焔アグニス/CGーnid】
1.2万人が視聴中 チャンネル登録者数 130.8万人
#紅焔ちゃん燃焼中
:気がついたらほぼ予告なしで枠が立っていたんだが
:何が始まるんです? いやマジで
¥1000:俺は永遠に待ちわび続ける:枠立て10秒で待機ができるとは、まさに僥倖……!
:↑ばかな……兄さんが早すぎる!
:↑待ちわびてないから敗北
:↑なるほど、それなら安心した!
:そーいやお嬢のママさんってどんな人? SNSやってても絵しか投下しないから全然わからん
:昔ナティ姉の収益化記念配信でちらっと出ていたな ぶっきらぼうでドSなイメージ
:アラフォーのおっさんやで
:よくラノベの表紙とかで見る巨乳絵師だよな
:シグニッド先生のロケットおっぱいにはいつもお世話になっております
:だが全て健全だ
:なんでド貧乳なお嬢の依頼受けたんだ? 貧乳絵はお見事にお嬢しか描かないし
:お、そろそろ始まるな
:先手イグニッション!
「イグニッション! YaーTaプロダクション1期生、紅焔アグニス! ただいま現世に顕現! 今日も元気に配信やっていくぜー!」
¥1000:今日も元気で助かる
:というか元気じゃなかった回の記憶がござらん
:お嬢の配信は毎回がマジで太陽だから元気出るのよ
「紅民のみんなもコメントあったけえぞ……さて、今夜はゲストを迎えての質問回答と雑談タイムだ! カモンママ! 出てこいや!」
「どもーはじめましてー。紅焔アグニスのママやってます、
:おおおおお
:意外っ! それはイケボおじさん!
:いや私の中では普通のおじさんだ、これ
:痩せ型の40代前半の男性って感じかな
「はい、私こと紅焔アグニスを生んでくれたCGーnid先生です!」
「アラフォーのオッサンにもなってママ扱いされるとどうにも調子狂うわ……」
「Vtuber業界の掟みたいなもんだから、しょーがないですね」
:シグニッド先生のファンだって、いつかの雑談配信でお嬢が言ってたな
:とにかく会社に頼み込んで、何が何でも担当にしてもらうようにお願いしたんだっけ
:デザインとかコンセプトを徹底的に話し合ったって言ってたな
:でもあの設定はガバなんだよな なぜだ
「まずはCGーnid先生を知らない紅民さんのために先生を紹介していきましょう。
先生はゲーム会社の社員をやりつつ、イラストレーター・キャラクターデザイナーのお仕事もバリバリにこなすナイスガイ! キュートとセクシーが見事に融合したデザイン性、そして日本一美しいロケットおっぱいでトップクラスに大人気の絵師さんです! 代表作はアニメ化もしているライトノベル『7乗の主人公 ~せめてジャンルは統一しろ!~』! 紅焔ちゃん、原作・マンガ・アニメすべて制覇しております!」
「日本一のオッパイは言い過ぎじゃね?」
「紅焔ちゃんの中では日本一なので嘘じゃないです。なにはともあれ、今日はお忙しいところ出てくれてありがとうね、ママ!」
「お嬢の配信で紅民さんが母娘コラボしてくれ言ってたし、俺のTwisterでもフォロワーから配信に出ろ出ろ言われてうるさいんよ。だったら一発やってみて、駄目だったら出禁くらったほうがええかな思って」
「とりあえず政治・宗教・野球の話をしなければ出禁は無いんじゃないですかね。なお野球は話題に出してもいいですけど、紅焔ちゃんがよく分からんのでNGです」
「おっ。じゃあエロとバイオレンスとインモラルな話題はオッケーと。下ネタ解禁してええなら気が楽だわ」
「お願いだから常識の範囲内でお願いします! ……っていうか、下ネタ許容派なんですか?」
「当然。俺の仕事は女体を描いてナンボだし。担当者から、SNSで発言すんなって止められとるくらいには嗜んどるよ。まあ、お嬢は清純派だから控えるけど。セクハラで燃えても面倒だし」
「……あの見事な造形美オッパイのお話って聞けたりします?」
「この配信をアーカイブに残さない勇気があるならガンガン話せるけど」
「アッ。裏で聞きまーす」
:おいww この男、何者なんだww 堂々としすぎだろww
:おかしい……先生のチャンネル、どの配信サイトにも無いんだけど 初めては絶対にウソだろ
:なんで配信者やってないんだ、この人wwwww
:ゲストとはいえ、普通は緊張でガタガタするもんだけど……全然ないな
「あの、本当に今回の配信が初めてですよね? 全然緊張してませんね」
「お偉いさんにプレゼンするよかよっぽど気が楽だわ。ていうか、お嬢と団長だって、初配信は全然緊張してなかったっしょ」
「ルルはともかく、紅焔ちゃんは緊張してましたよー。お話してると、先生って配信者適正がめっちゃ高いと思うんですけど……アバター作って配信しましょうよ」
「嫌だよめんどい……それよか、今日よばれた理由を全然聞いとらんのよね。物申すって何なんよ?」
「では本題に行きましょうか。ズバリ! 『紅焔ちゃんの生まれ故郷『アストラル界』についてそろそろお話させて!』です!」
:あすとらるかい?
:なんだっけ、それ
:そういやあったな
:アグにゃんと並ぶ初回配信の謎要素だよな
「…………アトラルかい???」
「アストラル界です! なんで生みの親が知らないんですか! そんな反応されると紅焔ちゃんだって困ります!」
「俺も困っとるんだが……ちょっと
:ウィギってwwww 非公式情報じゃねえかwww
:デザイナーが忘れるとかwwww
:先生にとってどうでもいい要素だったんだろうなwww
「あー、はいはい。出身地ね。なに、この小学生が秒で考えそうな設定」
「それ初配信でも言われた! 一緒に話し合って設定を決めたじゃないですか!?」
「グレレンの世界観とお嬢のお願いに沿ってキャラデザしたけど、設定までは知らん知らん。その辺は全部お嬢に丸投げしたじゃん」
「たったいま、一緒に考えたって言ったばかりなんですけど!? もしかして設定の話し合いのとき、適当に相槌うってただけなんですか!?」
「だって設定なんて使われんし。現に使われてないよな?」
「そうなんですけど! もっと可愛い娘に愛着もってくださいよォ!?」
:なるほど こだわるところはこだわるけど、どうでもいいところは適当なタイプなんだな先生
:特典のインタビューもそんな兆候はあったぞww
「デビューしてからそれなりに経ちましたけど、未だにアストラル界の設定を聞いてくる紅民さんが多いんですよ。
「お嬢の好きにしたらええやん」
「公式さしおいて適当に答えられないですよ。先生のファンとしては解釈違いだって怒られたくなかったですし。反応を見る限りじゃ適当でも大丈夫だって分かりましたけど、折角だからしっかりと決めたいですね。いちおう自分の事になりますから」
「もしかして、今日はそのアストラル界の設定を決める配信?」
「メインはそれです。時間があれば別のお話をしたいところですけど」
「っていうか、何をどうやって決めるの?」
「紅焔ちゃんは創作ってやったことが無かったので、いろいろとネットで調べてきました。で、とりあえずデータを適当に用意して、そこから練り上げていけばいいんじゃないかということになったので、こんな一覧を用意しました。はい、どうぞ」
▼アストラル界はこんなところだよ! データ編
・人口
・首都(所在地)
・言語
・宗教
・国歌
・元首
・建国日
・通貨
「うわ、めんど。思ったよりも決めることあるんなあ」
「仮想国家作成のサイトを参考にしたらこうなりました。まあでも、まだ配信できる時間はたっぷりありますし、今なら紅民の皆さんに相談したい放題できますから。そこまで時間はかからないんじゃないかって思ってます」
:一万五千のリスナーが相談に乗るぜ、先生!
:ぶっちゃけ縛りも無いんだから適当でええねん
:おかしい設定があってもネタにされるだけだから
「なるほど、気楽で良さそだな」
「どこから攻めましょうかね」
「……適当でええなら安価形式で良くない?」
「あんかけーしき……ってなんですか?」
「お嬢は世代的に知らんかもか。配信じゃあんまりやらんもんなあ。特定のタイミングで書かれた書き込みを拾って、そのネタを元にして絵を描いたりする遊びが掲示板サイトで流行ったんよ。お嬢も、100万人記念でペーヨンゴの具材決めたとき、コメントから拾いよったでしょ。アレよ」
「え」
:先生は俺たちの需要を分かってらっしゃる
¥10000:採用
¥5200:安価プランに全力で応援させていただく!
「いや待って先生! なんかすげー嫌な予感がする!」
「想像したら面白くなってきたわ。よし行こう、そうしよう。って、お嬢のチャンネルで俺が勝手に仕切ったらまずいか?」
¥12000:Ya-Taプロダクション【公式】:アグニスさんのチャンネルなら構いません その神企画、是非やりましょう!
「オイ公式ィ!?」
「よっしゃ言質とれたしサクサクやってこ」
:公式wwwwww
:所属タレントは公式の自由帳じゃねえんだぞwwwwwww
:わざわざ赤スパwww
「ああもう! やってやりますよ、こんちくしょう! 紅焔ちゃんからのせめてものお願い! 採用されたいからってスパチャでアピールするなよ、お前たち! 有料コメントは意地でも拾わねえからな!」
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