バレンタインデー
Valentin's Dayの回です、こんにちは。そのままやんけ! そうですね。すみません。
聖人が処刑されてどうのこうのとか、お菓子業界の戦略とか、前置きはさておき。
みなさまは本命・義理チョコ、もらったりもらわれたり、様々なご経験をされているのではと思います。
私自身は、本命チョコなんてそんなそんな、めっそうもございませんですことよ!(焦)
わたくし、中学生の時になんの因果か生徒会役員をしていまして。無駄に校内に顔は知られておりましてですね。
なぜか、「先輩にあげるの、ついてきて!」て引っ張りまわされた記憶は多々ございます。
「生徒会の子が、何の用?」
「いやーあのーですねー」
なんつって、休み時間ごとにイケメンと騒がれる先輩を何人か呼び出すはめになり。
友人たちが目の前で失恋する悲劇を、何回見させられたことか。オーマイ……だから顔しか知らん先輩にあげるのはやめとけって。
「また来た。ウケる」
とか言われてみなよ。わたくし、こっ恥ずかしいですわよ。
あえて手ぶらアピールで両手挙げてますよ。どこの戦場やねん。
とまあそんな甘酸っぱい日々はさておきですね。
このエッセイを楽しんで頂いている皆様。お待たせいたしました。
我が社の誇る、アルティメット・バブリーなお姉様こと、バブルさん。
彼女と、私の直属の上司であるパリピ課長の五年に渡るバレンタイン戦争を、どうか聞いておくんなまし。
外資とはいえ、日本拠点の会社ですから、バレンタインデーに義理チョコ配りも結構しています。
というのも男性比率がめちゃくちゃ高い職場なのです。
つまり、チョコ配っておくと、おじさんたち上機嫌で、仕事もしやすくなるというわけです。
入社当初はよく分からなかったので、とりあえずリ●ツ配っとけ! と思ってアソートパックを持っていき、ぺこぺこしながら「よろしくですよ~」と数個ずつお配り申し上げておりました。それでもみなさん上機嫌だったので、来年もこれでいいかな~と思っていたんですが。
パワハラ部長が「息子にもらったって自慢したい」というので、デパ地下でちゃんとしたやつを買って渡すようになりました。
んじゃバブルさんは何配るのかなー? と様子を見ておりましたらですね、身軽であらせられる。
いやほら、義理とはいえチョコってかさばるじゃないですか?
多少袋とか箱とか、持って……らっしゃらない。
Oh、配らないスタイル! それはそれでリスペクト!
――って思っていた時期が私にもありました。
やってきましたホワイトデー。
するとパリピ課長、わたくしごときに大変素敵なブランドもののハンカチを、くださいました。
さすがおしゃれさん。めちゃくちゃ可愛いやつです。
「うわあ、わざわざすみません!」
直立かつ賞状のように受け取りました。次回からはどうぞお気遣いなく、と言いましたが「気持ちだからね~いつもありがと~」と。
こちらこそあざます! と、にこやかにその場は終了。
翌日、バブルさん、出張で不在。
そういえばパリピ課長、結構な荷物で来てたな~さすがいっぱいチョコもらったのね、お返し大変~とのほほんと仕事していました。
すると隣席から話しかけられました。
「ねー、えーじゅん~」
「はい?」
「愚痴っていい?」
「どうぞ~」
「チ●ルチョコ、一個もろた」
「……ぱーどぅん?」
「チ●ルチョコ。知ってる?」
「知ってます。きなこもちの美味しいですよね」
「そ。一個。もろた」
「ええ……まさか……」
「俺、ちゃんとハンカチ返した」
「うわ! 泣く! 全私泣く! めっちゃえらい! えらいっすね!!」
「だよね! 俺えらいよね!! だって怖いんだもんーーーーー!!!!!!!!」
チ●ル一個が、ブランド物のハンカチに変わる?
いやそれ、どこのわらしべ長者?
「でもね、今年まだマシ」
「うっそん!?」
「去年五円チョコだった。まだ売ってる! 五円じゃない五円チョコ!」
「え? あー、駄菓子屋にあるやつ? ですよね?」
「そう! 今どこに売ってんの! 逆に知りたい!」
「あ、でも駄菓子屋逆に流行ってます」
「まじー」
「まじまじ。スーパーの一角にありますよ」
すみません、オフィスで騒ぎすぎました。反省。
で、さすがに次の年はあえて無視したんですって。
だって手渡しですらなく。机の上にちょこん、と乗っていたそうなんです。再チ●ル。
「名前もねーしさー。無視しときゃいっかーって思って」
「はい」
「したらさ! 昨日(ホワイトデー)すんげえ機嫌悪いの! 当たり散らされたの俺!」
「泣ける!」
「だから今日お返し買ってきた」
「買ったんかい! 貢ぎ課長!」
「うおおお! ののしってくれええええ! 俺は負けたんだああああ」
遅くなってごめんね、て言って渡したら。
ものっそい不機嫌で、ゴ●バのクッキーの箱、片手で分捕るようにしてもらい、鞄に突っ込んだそうです。
ゴディ●だよ? 敬って両手でお辞儀してもらおうよ! 滅多に食えないよ!
「え、お礼もなく?」
「お礼なんて言われたことないよ」
「……それは人として笑えないっすね」
「だよねー。ま、ほら、もらって当たり前の人だからさ」
「バブリーですねえ」
「バブリーだねえ」
そこから、チ●ル→チロ●→カントリーマ●ム(一枚)で。
パリピ課長は健気にアソートクッキー→スタバカード、と返したけど、カントリーマア●は
「チョコじゃないよね!」
って笑顔で無視した今年。
――三月十四日が、楽しみです。
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