既知の発見

研究所の職員の会話[記録日██████]


「ああ、これは大変だ」


「何があった?」


「これは、我々人類史上類を見ない発見だ」


「そんなものは既に発見されている物だろう」


「いや、今回の発見はそんなものじゃない」


「まあいい、この発見がどのようなことをもたらすかは今のところはわからないだろう」

(しめしめ、これがどのような発見か知らないくせに)


「では、この発見についての君の見解を教えてくれないか?」


「待ってくれ、そもそもなんの発見をしたか私は聞いていないはずだ」


「そんなもの既に君は知っているだろう?」


「私は我々が発見したものについて話したいと言っているんだ」


「確かにそうだ」


「所長、ご覧ください」


「これは、どういう発見なのかね?」


「簡単なことです」


「簡単なことと言われても訳が分からないが」


「あなたがこれをしたのは既に分かっているのですよ、所長」


「な、何を言っているんだ君は」


「お知りでしょう。既にあなたがおやつのケーキを食べたことは既に発見されています」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る