第8話 ガイダンスと皇子

「アリア、貴方のせいで、先生に怒られてしまったじゃない。何で先に入学式に行くの?話している途中に勝手に行くなんて常識ないんじゃない?」

「アリア、そうだぞ、貴様が勝手に行ってしまったせいで、俺達は遅刻して、先生に怒られたんだからな謝れ。」

「へ?」


 朝から、待ち構えていた様に、ベイスターン王子とフローレンス嬢がやってきて、激怒した顔で、怒鳴りつけられた。何なの?


「あの、バルザック王国王子殿下。私達はもう婚約者ではないんですよね。」

「当たり前だ。」

「貴方馬鹿ですの?」

「であれば、名前で及び頂くのはおやめ頂きますか?ここは学びの場、宮中儀礼に則った呼び方でお願いしますわ。イフリート公爵令嬢もお願いします。」


 一瞬二人は、目が点になりつつも、すぐに復活し、


「アリア、私が貴方をどう呼ぼうが関係ないわよ。私の方が人として上なんだから」

「アリア、お前頭悪いんだな。王子が、貴族を何と呼ぼうが、誰に遠慮することがあるんだ。上級貴族なら誰でも入れるからって、頭悪すぎるんだろう?」

「ベイスターン王子、あんな方の婚約者だったなんてかわいそう。」

「そうだね、そう言ってくれるのは、フローレンスだけだよ。」

「ベイスターン王子の優しさに触れられないなんてアリアはかわいそうね・・。ある意味。」

「そんな優しさ、君は何処まで美しくて優しいんだ。」


 また、二人の世界に没入していったので、放置して、教室に向かった。


「セイレーン公爵令嬢。また絡まれてましたね。ウフフ。」

「ロッチンゲン伯爵令嬢。ご覧になってましたか。」

「はい。ヒステリッククイーンと、アホ王子。学院最低のカップルとして有名らしいですわ。共に1年の取得単位が30単位。出席するだけで得られる単位だけで40単位。高位貴族でも、入学前の勉強もしっかり積んでいるので100単位前後確保するのが普通なのに・・・・。真面目に通学した学生の中では、歴代7位タイらしいわよ。」

「よくご存じですわね。」

「有名ですから、3年生のイフリート公爵のご長男のゴフィスン様がイフリート公爵派閥を占めているので、二人が学院内で叩かれることは無いのですが、ゴフィスン様の優秀さを際立たせるためにわざとやっている説がまことしやかに出回っている等、怪我しない範囲で色々話されている状況です。ゴフィスン様が、イフリート公爵派閥を使って、セイレーン公爵家のネガティブキャンペーンを効果的に行っていて、セイレーンの反乱で、多くの民が死んでいる中で、セイレーン公爵令嬢が対面を保つために帝都にきたが、火の車で、アホ王子・・・いえ、ベイスターン王子の婚約破棄による慰謝料でなんとか凌いでいる。リーハイム・セイレーン次期公爵閣下は、反乱で虫の息だ。セイレーン公爵は、イフリート公爵に頭が上がらず、イフリート公爵が提示した条件を丸呑みした。そこには、反乱を主導したバルザック王国の貴族の解放も含まれている。反乱の影響で、セイレーン公爵領から多くの大商人がいなくなり、物流が途絶え掛かっている、バルザック王国、フランツ王国、バザーモン公国と周辺各国との対立で貿易は途絶え、レイクノバ大陸との貿易も封鎖され、セイレーン公爵領の貿易収入は風前の燈火だ等々、聞くに堪えないものも多いと聞きます。」

「そう。それで、貴方は、私に何を求めるの?」


 私は、ロッチンゲン伯爵令嬢を見据えた。


「私?私は、こんなやり方が嫌いなだけですわ。美しくない。実際に、多くの商会がセイレーン公爵領での商いを辞め、閉店していると聞きます。」

「まぁ、帝国七商会会議、帝都五大商会等々、大手、老舗の商会の殆どがセイレーンでの取引を辞めたわ。セイレーン5大商会でセイレーン内は何とかなりますけどね。流石に皆様セイレーンを舐めすぎですわ。セイレーンは、基本的に輸出がメインで、輸入が無くても生きていけます。南部で気候が良く農業生産力は帝国随一と言われますのよ。海産物も豊富ですし、鉱業、迷宮、武器製造、細工等々産業基盤はしっかりしてますのよ。」

「そう言われれば、セイレーンは帝国が出来るまでは、南部の大国でしたわね・・・。」


 そんな話をしているうちに、ローバイス先生が来て、今日の予定を説明してくれた。今日は、午前中いっぱいで学院施設見学をして、食事前に帰ってもいいし、午後部活、ゼミ等見学、狩り入部がある。


 帝国中央学院は、帝都の宮殿、高位貴族が住む丘と市街地の間あたりにあり、10キロ四方の正方形の土地に5メートルを超える塀が2重に覆われている。敷地内には、帝国魔導学院、帝国騎士学校が併設されていて、門は正門一つ、1つ目の壁が外門、2つ目の壁にあるのが内門と呼ばれていて。基本的に内門は関係者以外侵入を禁止しており、送り迎えの馬車は内門のまでしか入れない。内門を入ると、中央が帝国中央学院、右手が帝国魔導学院、左手が帝国騎士学校の校舎があって、低い壁で区切られており、警備・管理は全て帝国軍が務めている。各学校の教員は帝国軍、宮廷魔導士隊、内務省、外務省等政府の役人と、学院の教授や准教授、その下の講師、研究員等が務めている。帝国中央学院内部は教室のある2号館は、5階建てで、1年が1階、2年が2階となっており、5年以上は、5階で階級別クラスが一緒になる。2号館での授業は無く、座学棟、研究棟で座学の授業を、30ある演習場、15ある武道場で実技の授業を行う。1号棟は教員・事務の部屋、会議室がある。他には3つのゼミ棟、学食や部活の部室がある学生棟等がある。また、3校共用施設として、3校の生徒会室や各委員会がある生徒会棟、男女で別れた学生寮、帝国軍が詰める軍令棟、皇族と4大公爵それぞれに与えられたそれぞれのホーム、難易度が異なる四つの迷宮がある。先生はホーム以外を順番に説明してくれた。

ホームの運営は、各最上位者が全ての権限を握っており、現在は私が全てを決める権限を持っている。セイレーンのホームは、3階建ての邸宅風で、私の執務室の他には、セイレーン出身者が自由に使える自習室、討議室や修練場、図書館等があり、専用食堂等を持っている。セイレーン出身の研究者をセイレーン出身者用の講師として公爵家の負担で雇っており、料理人、メイド、警備兵、武術教官等は、帝国が雇ったり、帝国軍人を公爵家への出向という形で公爵家が雇っている。ここまで手厚いのはセイレーンだけで、他のホームは、中央学院の貴族の遊び場になっていると言われており、セイレーンもその様に見られている。


「セイレーン公爵令嬢。午後はどうされますか?」

「私は、ホームに行って、食事を取って、セイレーンの者達の状況を確認する予定です。」

「流石、セイレーン公爵令嬢優雅ね。そう言えば部活やゼミは?」

「部活ですか?今の私が入っても皆様迷惑でしょう。ゼミは、入る予定はないですわ。」

「そうですの。では、また明日。ごきげんよう。」

「ごきげんよう。」


 私は、ロッチンゲン伯爵令嬢と別れた後、ホームに向かった。幸いベイスターン王子とフローレンス嬢と出会わずスムーズに行くことが出来た。ホームには、各校の生徒達の一部が来ていて、めいめい食事をした後、テスト対策の勉強をしていた。私を見ると、挨拶を交わすが、出来るだけ勉強に専念できるように、儀礼に拘らない様に言っている。スノーも来ていなかったので、私が執務室に行くと、メイド長が手紙を一通持って来てくれた。帝室専用の便せんに入った手紙だ・・・。私はペーパーナイフで開封した。



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アリア・セイレーン公爵令嬢


 貴女に頼みたいことがあるので、学生棟の生徒会会長室に来て欲しい。助手となる者も一人同席して貰えればと思う。

 ガイダンス期間は、毎日午後生徒会会長室に基本的にいるので、事前の伝令は不要だが、多少お待ち頂くかもしれない。

 よろしく頼む。



生徒会長 帝国皇子ロッチ

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 文章としてどうかと思うが、ロッチ皇子からの呼び出しだ。伝統として、各学年の最高位の貴族が生徒会役員になり、生徒会役員の中の最上級生が生徒会長となり3校の生徒会運営を行う。1年生では、私が最高位の貴族なので、私が選ばれるのは当然だった。役員の他に、中央学院の上位貴族、魔道学院及び、騎士学校の成績優秀者が委員となる。生徒会役員には、助手として、1名を委員に選出する権限があるので、スノーを委員にしようと考えている。生徒会自体は、形式的なものが多いが、箔が付き、将来役立つことが多いと言われている。


 コンコン


「スノーです。」

「どうぞ。」


 入ってきたスノーは疲れた顔だった。


「どうしたの?」

「アリア~。流石に、私も井の中の蛙大海を知らずって実感したわ。」


 と、ソファにダイビングして倒れた。


「あなたでも?」

「みんな凄そうなの。服も道具も高そうだし、」

「お金持ちってこと?」

「それだけじゃないの、言ってることが凄いの。」

「マウント取りに来てるだけじゃないの?」

「そんなこと無いと思うけど…でも明日から、頑張るわよ。メラメラメラ」


 と、すくっと立って、目に炎をたぎらせた。


「自分でメラメラって。」


 と、スノーは、少し呆れた顔をしつつ、


「だったら良いわね?」

「良いって何?」

「私が生徒会役員になった時の助手。」

「助手って。」

「助手は、生徒会の委員よ。正式には、私付きの生徒会書記。」

「生徒会って、しかも書記って、超エリートじゃないの?」


 そう、生徒会書記。生徒会でも、一学年一席、生徒会の委員より一段上の、魔道学院及び、騎士学校の学生最高の地位。


「うん。」

「良いの?」

「良いわよ。この後、会長のところに行こうと思うの、一緒に来て。」

「えっ、会長ってロッチ皇子だよね」


 スノーは、あからさまにやな顔をしたが、


「そうよ、呼び出しあって、助手も連れてこいと。」

「行かないと「ダメ」」

「わかりましたわ。」


 スノーは、若干しょげつつ、生徒会会長室についてきてもらった。


 コンコン


「はい。」

「アリア・セイレーン、助手候補を連れて参りました。」

「入りたまえ。」

「はい。」


 そう言って入ると、書類に埋もれた皇子と、隣で一緒に書類をこなす令嬢が、こちらを向いて迎えてくれた。


「セイレーン公爵令嬢、あと、スノーさんかな?二人ともソファに座ってまっててくれ。」

「「はい。」」


 私達がソファに座ると、二人は仕事を切り上げて、反対側にゆったりと座った。


「久しぶりだね、セイレーン公爵令嬢。」

「私のこと覚えているかしら?」


 殿下の隣で座る、ピンク髪に、ふくよかな体格、安らぎを体現しているところは昔から一切変わっていなかった。


「リヒャルト公爵令嬢ですわよね。アーニャお姉様とお呼びいたしましょうか?」

「まぁ、アリアちゃん、2歳の時のこと覚えていたのね。」

「そうですわよ。初めて宮中ガーデンパーティに出席した時、小川に落ちそうになったところを助けていただいて、遊んでもらいましたもの。当然覚えておりますわ。」


 2人は笑顔を交わし、


「遅くなりましたが、殿下とのご婚約おめでとう御座います。」

「ありがとう。こんな太っちょさんを、奥さんにしてくれる奇特な方は少ないですからね。」

「太っちょって、僕は気にしてないし、寧ろ大魔法使いとして、必要な体じゃないか。」


 そう、リヒャルト公爵家は、宮廷魔導師長を多く輩出してきた魔法界の名家で、アーニャ様は、肥大魔法病という、強力な魔法を使える代わりに、カロリーを多く消費してしまう為、ある程度太っておかないといけない病気というか、一種の呪いに掛かっている。


「まぁ、殿下も、アーニャお姉様もイチャつかれるのは、別の2人で満腹なので、要件は。」

「要件か、まず謝らせて欲しい。」


 そう言うと、殿下は頭を下げた。


「従兄弟のフローレンス、いや、ヒステリッククイーンが、大変失礼なことをした。申し訳ない。」

「あっ、殿下。」


 ロッチ殿下のお母様は、イフリート公爵の姉セディ皇子妃殿下なので、フローレンス嬢と、ロッチ殿下は従兄弟にあたる。


「母も、流石に最近のイフリート公爵家は目に余るものがある。特に、特にフローレンス嬢は最低だと言ってる位だ。ここだけの話だけど。」

「殿下、ありがとうございます。殿下が気に病まれることではございません。」

「大丈夫なの、アリアちゃん。」

「ええ。もともと、愛があるわけでもなく、お慕いしていたわけでもありませんから、手紙の返事も頂けず、近くを通っても、寄られる事ない方をどうやってお慕いすれば良いのですか?」

「そうか、あいつは、君があいつに夢中と勘違いしているがな?流石にアホ王子。」


 と、スノーを置いて、下らない話を4、5分した後、本題に入っていった。


「でだ、そろそろ本題だが、分かっていると思うが、君に生徒会役員になって欲しい。その学年のうち、帝国で一番の貴族がつく仕組みで、宮中序列に基づくから、自然と君に決まるがな。」

「わかりましたわ。殿下よりのご下命でも有れば、断れませんわ。」

「ありがとう。助手は、スノーさんで良いかな?」

「はい。よろしくお願い申し上げます。」


 殿下はそう言うと、満面の笑顔を見せた。


「でだ、他の役員だが、4年は生徒会長の私、3年はイフリート公爵家の公爵の長男ゴフィスン、2年はイフリート公爵家の公爵の次女フローレンスだ・・・・。」

「えーっと、そうですよね。」

「ちなみに、ゴフィスンの助手は、騎士学校3年主席、灼熱の剛剣ライス・ノーブル騎士爵子、フローレンスの助手は魔道学院2年主席炎王ロックフォード・サムスン子爵公子だ、二つ名がダサい。因みにゴフィスンはわがまま講釈、フローレンスは、ヒステリッククイーンだ・・・。因みに講釈は講釈師の講釈で、勝手な論理で捲し立てることから来ている。」

「ところで、お二人は生徒会には・・・・。」

「来ない、ホームで遊び惚けているので、書類が山積みだ。」


 殿下は、呆れ顔でこちらを見た。イフリート公爵が、ブリモンド皇子を最近相当舐めていると言われるのと同じように、イフリート公爵の子女は、ロッチ殿下を舐めきっていた。それに、殿下は憤り越え呆れていた。


「仕事は、助手の方に任せるのでは?」

「いや、あの二人は事務が出来ない・・・・。」

「何故助手に・・・。」

「それはだな、」


 殿下は、面倒くさそうな顔をして、説明してくれた。隣のアーニャ様は、常にニコニコしている。


「2つあって、共に生徒会役員の規則に基づくんだが、一つ目として解任事由がある。強制解任事由が3つあって、1つ目は、実家が降爵や、廃爵され、学年最上位でなくなった場合。これは、転入生や、生徒の実家が昇爵されて、最上位が変わった場合は除かれている。2つ目は、死亡もしくは通学不能になった場合。当たり前だな。この二つの場合は、その学年で新たに最上位になった者に役員が変わる。問題は3つ目。成績不振な場合。これはガイドラインが決まっており、最上級生になるまでの間、毎月月末時点で、下級学年の役員より取得単位数が少なかった場合としている。」

「単位数は、助手は関係ないのでは?」

「あるんだ、本人の比較、本人と助手合計の比較で共に下回った場合とされている。ライスは、既に320単位、ロックフォードは211単位獲得し、ゴフィスンの91単位、フローレンスの30単位を加算すると、ゴフィスンの471単位、フローレンスの241単位確保している。因みに私達は、既に4年生で最高学年として対象外だが、二人で813単位だ。まぁ、迷宮を潜っているからだけど。」

「私とスノーで、300単位位確保すれば、イフリート公爵令嬢は役員解任ですか?」

「そうだ、後任は置かず、2年連続会長をやってもらう。」

「そうですか・・・。わかりました。それで2つ目は何ですか?」

「2つ目は、生徒会役員は、助手と合計して、240単位の2倍、480単位獲得すれば、卒業が認められることだ。2人とも適当に単位を取って、助手たちの単位で卒業しようともくろんでいるのだろうな。」

「そうなんですか・・・。スノー頑張ってね。」


 殿下は、イフリート公爵と、イフリート公爵の子女に一泡吹かせたいと思っているようで、私は、それに乗っかって、学院生活をより良くしていこうと考えていた。


「アリア様。成績は、ご実家に報告させていただきますから。」

「分かりましたわ。頑張って単位を取りますわ。」

「頑張ってくれ、まぁ、今まで解任された役員はいないけど、流石に、解任規定は知らなくないと思うが・・・。貴族なら簡単に入学後のテストで単位が取れる宮廷規範1~4を取ってない位だから知らないかもしれん・・・。」

「そうですか・・・・。スノー、出来る限り単位を取って下さいね。実技は全属性魔法、剣術、槍術、弓術ね。」

「アリアちゃん。魔法は属性毎に初級、中級、上級まであって、3段階に分かれているわ。それぞれ1つ魔法ができれば、1段階合格で、初級は4単位、中級は6単位、上級は10単位。1属性で最大60単位、武術3種も同じよ。それだけで、6属性+3武術で、最大9×60の540単位取得できるわよ。」

「アーニャお姉様流石に無理です。」


 アーニャ様は笑顔で無茶ぶりをする。


「スノー、あと、迷宮探索しますか?」

「迷宮探索か・・・・。どこまでやったことあるんだ?」


 殿下は、私達をみて感心しているようだった。


「地元の初級迷宮ならクリアしてます。」

「2人で、」

「2人ですが、」


 殿下は、驚いていた。


「地元で同年代のパーティーメンバーを呼び出せば、生徒より1歳上までのメンバー2人までであれば、探索に参加可能だ。私は、剣聖の息子をつけている。ゴフィスン、フローレンスは、イフリート公爵領のクランから年齢制限限界で一番ランクの高い冒険者を呼んでるらしいぞ。」

「迷宮のマップはあるんですか?」

「あぁ、あるぞ。ホームに届けさせる。頑張ってくれ。」

「分かりました。」

「迷宮を一番下40階までいけば、えーと336単位かな?」

「アーニャそうだよ、二人で倍だから、672単位だよ。」

「アーニャお姉様、殿下それも無理です。」


 アーニャ様は笑顔で無茶ぶりをするし、殿下はそれに乗っかるのですか。


「そうですか~。」

「無理です。」

「そんな顔をするアリアちゃんやっぱりかわいい。」

「アーニャお姉様」


 やっぱりこの人には勝てないと思わされた。


「アーニャ良いか?セイレーン公爵令嬢、生徒会役員への就任は、授業開始からだ、授業初日の放課後生徒会室に来てくれ。」

「分かりました。」


 その後、アーニャ様とお茶をして、そのまま帰宅した。スノーはずっと固まったままだった。

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