第48話 お姫様を救え!7レイside

ダンテ家の別邸に到着し、メリアーナがいる部屋を聞き出し急いで向かう。

制止しようとする屋敷の使用人達を睨みつけて黙らせる。

扉を乱暴に開けるとジャガーが壁際に逃げているであろうメリアーナに手を伸ばそうとしていた。

カッと頭に血がのぼる。


「メリアーナ!!」


ジャガーを掴んで引っ張り思い切り投げ落とし、すぐに振り向いてメリアーナに駆け寄り抱きしめた。


目を閉じていて起きる気配がない。

気を失っている?それとも眠っているのか?

涙に濡れた顔を撫でる。


「メリアーナ!遅くなってごめん!」


メリアーナの温かい体温を感じる事にホッとした。

しかし顔色が悪すぎる。

何かを飲まされたのか!?


ソファーに寝かせ私の上着をメリアーナの体に掛ける。

ぐったりとしているメリアーナ。


もしやこのまま…。

昔の記憶が甦り体が硬直する。

また…?

君に会えなくなってしまうのか…?

体が震えだし、血の気が引く。


「芽…衣ちゃん……」


両手を握り名前を呼んでも目を開かない。

抱きしめて名前を呼んでも!!


「芽衣ちゃん!!」


床に伸びているジャガーの襟首を引っ張り上げて壁に抑えつける!


ダンッ!!


「起きろ!何をした!?言え!!」


「ぐぅ!だ、誰がお前な…んかに」


「言え!!」


更に締め上げ強く揺する!


「ぐぁ!!す、睡眠薬を少し…」


「何!?」


「あ、あと数時間で、お、起きる!それ以外は何もしてな…い…」


それを聞いたあと手の力が抜け、気を失ったジャガーがドサリと倒れる。


「芽衣ちゃん…よかった……」


彼女を強く抱きしめ、存在を確かめる。

しばらくそのまま動けなかった。



部屋の外が騒がしくなった。

部屋の入口からアレックスにためらいがちに声を掛けられた。


「レイ」


「…ああ、彼女は無事だが睡眠薬を飲まされている。医師に診察してもらおう」


振り向きアレックスとマクラナ嬢に返事をする。


「メリアーナッ!心配したわ!」


マクラナ嬢がソファーで眠っている彼女に駆け寄る。


騎士団も少数でこちらに向かっており、クリスク公爵家に関わることなので内密に動いてくれているそうだ。

ジャガーを拘束し連れて行くことは騎士団がする。


彼女をクリスク公爵家へと連れて帰るために腕に抱く。

このままストライブ家へ連れて行きたいが、さすがに今の私の立場では無理があった。


「これも持って行け!レイ。アイツがメイドに渡していた物だ」


「ありがとう。医師に確認してもらうよ」


アレックスに睡眠薬が入っている瓶を手渡される。


「メリアーナのこと、よろしくお願いいたします。私はまだこちらで用事がありますので」


メリアーナを心配そうに見たあと、マクラナ嬢がジャガーを睨みつけていた。



「レイ様!ご無事で!…お嬢様も!」


ストライブ家の馬車も到着していた。


「ああ、暗い夜道で申し訳ないがよろしく頼むよ」


「かしこまりました」


馬車の中でも彼女をきつく抱きしめたまま離せなかった。

メリアーナが私の腕の中にいる。

その現実に安心する。

胸が締めつけられるほどのこの想い。


もう絶対に離れない…。



「メリア!!」


「メリアーナお嬢様!!」


クリスク公爵家も当然騒ぎになっていて彼女が帰ってきたことに皆が安堵した。

すぐに部屋へ運び、主治医の到着を待つ。

そしてクリスク公爵に詳しく事情を説明した。


メリアーナが飲まされた睡眠薬を主治医に見せる。


「ああ、これでしたら!分量にもよりますが体への負担は少ない薬です。しばらくしたら目を覚ますでしょう」


「先生、本当ですか!?ああ!メリア!」


「メリィ!良かった!ストライブ様本当にありがとうございました!」


クリスク公爵や夫人にもお礼を言われる。


「メリアを助けていただき、ありがとうございました。学園祭でこのようなことが起きるとは…大切なメリアに!自分が許せない!!」


「いえ、私がメリアーナの側から離れなければ起こらなかったはずです」


フレッド様は私に頭を下げていたが、私が側についていればこんなことには!


「以前、フレッド様とお話しをした時にメリアーナは必ず守ると約束したのに!申し訳ございませんでした…!!」


私は深々と頭を下げた。


その後はメリアーナの顔色も徐々に良くなってきたが、目を覚ます様子はまだなかった。

医師の診察も受けて、後は目が覚めるまでしばらく時間がかかり、腕のアザや体の痛みがなくなるまで数日は安静にということだった。






*ご注意*

お薬はきちんと分量を守ってご使用くださいませ。

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