第44話 お姫様を救え!3 レイside
コンテストではメリアーナが名前を呼ばれても舞台に上がってこないと騒がしくなっていた。
「メリアーナ?」
どうしたのかとアレックスと顔を見合せ女性側の控え室の方を見る。
メリアーナに何かあったのか!?
舞台袖の生徒達が慌てている様子が見えた。
目立たないようにそっと男性側の控え室の方に戻り、裏口から女性側の控え室へと急ぐ。
開けると誰もいない部屋の床に白くて丸い物が落ちていた。
「マスコット!」
手で拾い上げる。
「レイ!メリアーナ嬢は!?それは?」
アレックスとカタリナ様も控え室に走ってきた。
「メリアーナのだ。…もしかしてどこかに連れ去られた?」
マスコットを強く握り締めた。
「こ、こんなことをしたのは誰!?」
怒りに震えたカタリナ様が怒鳴る。
「王宮騎士団長の娘であるこの私がいる時になんということなの!?」
キッ!と鋭い目で指示を出す。
「アレックス!お父様にすぐにお知らせして!とにかく学園中を手分けして探すわよ!!」
「分かった!あっ!レイ!」
控え室の裏口から外に出て走り出した。
近くには馬車が停められる場所があった。
まさかここからどこかに?
学園の外に出たのか!?
「!!」
少し離れた場所で他にも馬車が停まっている!
御者の所へ走り確認する。
「他の馬車ですか?ああ、少し前に停まってましたね。確かダンテ家のものだと…」
「ダンテ家ですか!?」
「いつもと違う所に馬車を停めているから変だなと思って見ていたんですよ。何か大きめの四角い箱を数人で運んでました。学園祭で使った物でしょうか?」
それだ!
数人がかりでメリアーナを運び出した!?
「教えていただきありがとうございます!」
ストライブ家の馬車へと向かう途中でアレックスに腕を掴まれた。
「おい!どこへ行く!?」
「ダンテ家だ!メリアーナはジャガーに攫われた可能性が高い!!」
「っ!分かった!こちらも向かう!」
アレックスは控え室の方へ走りながらヴァリテ家の者に指示を出している。
「メリアーナ!すぐに行く!!」
私も急いでストライブ家の馬車へと走る!
「レイ様!まだ学園祭中では!?」
予定より早く私が馬車へと来たのでストライブ家の御者が驚いている。
ただならぬ雰囲気を察してすぐに準備をしてくれた。
ダンテ家へと指示をし馬車へ乗り込む。
しかしなぜ?今頃ジャガーが?
メリアーナのことが諦められていないのは分かっていた。
しかしダンテ家やクリスク家からかなり厳しく言われていたはず。
こちらも動向には気をつけて見ていたはずだが。
学園祭で人が多い隙をつかれたか!!
「くっ!!」
マスコットを手にメリアーナの無事を祈る。
学園から近いダンテ家にはすぐ到着した。
訪問の連絡もしていない私が訪れたので屋敷の者は戸惑っていたが、ジャガーのことを強引に聞き出した。
「まだ帰っていない!?」
ではどこへ!?
焦りと苛立ちが募る!
「レイ!」
「ストライブ様!」
アレックスとマクラナ嬢もダンテ家に到着しこちらに駆け寄る。
「ストライブ様!メリアーナが最近変な視線を感じるって言ってました」
「!!」
「今ジャガーがこの屋敷にいないなら、あいつがよくメリアーナを連れて行きたいって言っていたお気に入りの別邸に連れて行ったかもしれません!」
「ダンテ家の別邸!?というと確か幾つか所有していたはずだが…」
馬車が停まっていた方向からすると王都を過ぎて南方の森に確か別邸があったはず。
ダンテ家の者にジャガーがその別邸がお気に入りなのか、そこへ向かった可能性があるか確認した。
「本日からしばらくその別邸で過ごすとおっしゃっておりました…」
ダンテ家の老齢の執事が悲痛な顔をして教えてくれた。
「あああ!ジャガー!なんてことを!!」
騒ぎを聞きつけたダンテ伯爵夫人が崩れ落ちる。
「馬をお借りします!」
私はすぐに屋敷を出てダンテ家の馬に飛び乗り、一心不乱に駆け出す!
「レイ!こちらも向かうから無茶はするな!」
アレックス達も馬車へと急ぐ。
「どうか無事でいてくれ!メリアーナ!!」
やっと逢えたメリアーナ!
やっと、やっと近くに…手の届くところまでに!
もう離れたくないんだ!
メリアーナ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます