第27話 王宮でパーティー6

「芽衣!しっかりして!」


控え室に連れて行ってくれた。

これが控え室なの?っていう豪華さだけど、もはやどうでもいい。

誰もいなかったからちょっと(?)芽衣でいさせてくださいー。

ソファーでぐったりする。


「ストライブ様の押しが凄いわねぇ。見てる方が恥ずかしいわぁ」


早苗様が感心している。


「これはもう逃げられないわよ。このまま婚約、そして結婚コースね」


里英ちゃんは恐ろしい事を言う。


「…レイ様の攻撃力が、キラキラ度が、エスコートが、色気が、笑顔が、言葉が甘いーーー」


涙目で訴える。


「レイ様?」


「名前で呼んで欲しいって」


「いつの間に付き合ってたの?」


「付き合ってませんが…」


「今日の様子を見てると初々しい恋人同士みたいだったわよ」


里英ちゃんがまたとんでもない事を言う。


「え…」


「ストライブ様、外堀からガッチリと固めたわね。ドレスもそうだけど」


早苗様、そうなんですか?


「これだけの人が見てるからねぇ。とにかく、あと少しだから頑張って!!」


「はい…」


元イチオシ社の女神様達からのエールをいただきました。



* * * * *



「レ、レイ様」


「メリアーナ」


キラキラはまだ健在でした!

レイ様の手にまたちょこんと自分の手を乗せる。


「クスッ。本当に可愛いね」


手をギュッて優しく握られて微笑む。

可愛いプラス色気!!

また真っ赤になった。


「ストライブ様、もう少し手加減してあげてくださいね」


里英ちゃん!ありがとう!


「…今はそんな余裕なんてないよ。ライバルは多いから」


レイ様の余裕?

何の?こんなに攻撃力高いのに?


「ではあちらに行こうか、メリアーナ」


その後は、いろんな人に『仲が良いのね』『お似合いね』なんて言われた。

しばらくして、お父様達の所へ行き家族で王家の方々にご挨拶をした。

その間お兄様は私にベッタリだった。

「大丈夫か?」と何度も聞かれた。

いえ、大丈夫ではありません。


そして、またレイ様と一緒になり、美味しいお菓子を取って来てくれたり、綺麗なお花が咲いている庭園に連れて行ってくれた。

オーディエンスが少ない所だと緊張が少しとれてきた。

この国では季節を問わず綺麗に咲く薔薇もある。

レイ様が上着を掛けてくれて、アーチ状の薔薇の下を潜りながら歩く。


庭園のガゼボにふたりで座った。

例によってハンカチを敷いてくれる。


しばらく庭園を眺めていた。

言葉がなくてもこの沈黙は落ち着くわ。

今は攻撃されてないから?


そして、レイ様の瞳が真っ直ぐ私を見つめる。


「今日は本当にありがとう、メリアーナ」


「え?」


「君と一緒に過ごす事ができて、君を独占する事ができて本当に幸せだった」


「…!」


「パートナーに選んでもらえて夢のようだったよ」


やっと落ち着いてきたのにまたドキドキが!

どうしよう!!


「これからも君を名前で呼んでいい?」


レイ様の真剣な顔を見てると胸が痛い。


「あ…」


どうしよう。

苦しくて。


「私の事もレイと…このまま」


今日何度も見たレイ様の大人びた真剣な顔。

何度も繋いだ手。

そして、今も。

レイ様の手から気持ちが伝わってくるみたい。


「は、はい…」


苦しくて。

こんな気持ち、ずっと昔にも…。



涙がポロリとこぼれた。



遠くからダンスの音楽が聞こえてきていた。

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