第9話 過保護なお兄様2
今日から学園に復帰する。
学園に向かう為に美麗お兄様と一緒に馬車に乗った。
「メリア。本当に体は大丈夫なのかい?まだ休んでいていいんだよ」
「まぁお兄様。本当に大丈夫ですわ。心配してくださってありがとうございます」
美しいお兄様が心配そうに見ている。
そして、この前に堪能できなかった馬車ー!
芽衣の記憶が戻ってからは初めてゆっくり乗れた馬車!
すごいわ!!
街並みはヨーロッパ風に見える。
窓の外の景色も日本とは全っ然違うわ!
「その包みは何?」
「これはお礼の品ですわ。我が家の料理人に焼いてもらったクッキーです。私を保健室まで運んで下さったのはレイ・ストライブ様だったそうです。お礼にお渡しするつもりです」
朝にお父様にもお伝えしてある。
公爵家からもストライブ侯爵家へお礼をしてくれるとの事だ。
報・連・相は大事よ!
お兄様にも説明する。
リエッタへの家を通してのお礼はもうしてある。
今日は里英ちゃん用のクッキーも持って来た。
「…そう。ストライブ侯爵家のレイ様が」
ピクリと兄の笑顔が引きつった。
「はい。まだお礼をお伝えできておりません。初めてお会いするので緊張しますがリエッタ様と一緒に行ってまいります」
メリアーナは社交的なタイプではなく、かなり人見知りなお嬢様だ。
免疫がなさ過ぎて初対面の人と上手く喋れないのだ。
過保護な父と兄に無理はしないでいいと言われていて、パーティーにもあまり行かなかった。
そして、クラスのみんなともあまりうまく馴染めていないようだった…。
里英ちゃんが同じクラスで良かった!
「そうか。では私も一緒に行くよ。大切なメリアを保健室まで運んでくれた方だ。私からもお礼をしなくては」
「お兄様!本当ですか!私、上手にお礼をお伝えできる自信がなくて…。不甲斐ない妹で申し訳ございません」
「メリアの事なら私が行くのは当然だよ」
お兄様!頼りになるー!
学園に着いて馬車から降りる。
美麗お兄様のエスコートだ!
美しい銀髪が陽に当たってキラキラ輝く。
笑顔が素敵。
私の兄!美しすぎる!!
前世だったら美しすぎる◯◯って何かで活躍出来そうね。
いや、やっぱりモデルさんかしら?
登校中のみんながチラチラこちらを見てる。
お兄様ってばモテモテなのね!
そりゃそうか。
お兄様がそのまま手をギュッと繋いで歩き出す。
本当に仲が良いのね。
ニコニコしながらそのまま歩いていると
「クリスク様、メリアーナ様、ごきげんよう」
里英ちゃんががこちらに来た。
「ごきげんよう、メリアと仲良くしてくれてありがとう」
「ごきげんよう!リエッタ様!」
こちらも挨拶をする。
「では後で迎えに来るよ」
私の教室まで送ってくれたお兄様はチラリと教室の中を見てから去って行った。
「後でどちらに行かれるの?」
「ストライブ様にお礼をお伝えする事をお話したら、お兄様も一緒に行って下さると」
「…そう。メリアーナ様の事が心配ですのね」
「優しいお兄様だわ!」
ニコニコしながら席に座る。
「そうね」
教室を去る時はメリアーナを見て頬を赤くしている令息達を睨んでたけどねとリエッタは思った。
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