第2話 前世思い出しました2

金髪で赤い瞳の可愛らしい女の子が説明してくれる。


この国はフラワード王国。

貴族階級のある世界。

季節は日本でいう秋に入ったところだそうだ。


そして私はメリアーナ・クリスク15歳。

父は前国王の息子でエリオット・クリスク公爵。

その娘である私は公爵令嬢だそうだ。

前国王の息子が父!?!?

何それ!?すごくない!?

本当にお嬢様だった…。


今いる所は貴族の子供達が通う学校。

フラワード学園の保健室。

私達は今年入学したそうだ。

セレブ達がいる学園かぁ。


「それで?私がそのメリアーナちゃんなんですか?」


金髪の可愛い女の子に聞く。


「そうよ。今のあなたはメリアーナ・クリスク公爵令嬢よ」


「はぁ…」


「そしてメリアーナの前の人生の時が前田芽衣よ」


前田芽衣は一体どうなってしまってこうなっているの???


「お嬢様でセレブって…15歳??」


そんなところで私が上手く学園生活を送れてるワケないわー。

前田芽衣は15歳ではなかったし。

何歳だったっけ? あれ?自分の事が分からない?


「はぁー」


なんだか頭がついていかない。

でもさっき鏡で見たお人形が私の意思で動くのも事実。


「私も前世を思い出した時はしばらく頭の中が混乱したわ」


「えっ!?」


「私も同じなのよ!横山里英!一緒に働いてたでしょ?」


「え!里英ちゃん!?」


「さっきは本当に驚いたわ。何かと『イチオシ』っておすすめするお店だったものね。まさかと思って朝礼で毎回言ってた社訓言ったら、そのままつられてくれるんだもん!」


クスクスと笑われる。


「いや、だって…」


少し顔が赤くなる。


「こんなに近くに芽衣がいたなんてね!嬉しいわ!」


「いや、里英ちゃんって。本当に?全然違うじゃない!金髪で赤い目って」


「それは当然よ。私達は今、日本人じゃないのよ。それはこの姿の前の人生の時。今の私はリエッタ・マクラナ伯爵令嬢よ」


ゆるふわの金髪を「綺麗でしょ?」と自慢しながら説明してくれた。


「里英ちゃん…」


目の前の金髪の女の子が里英ちゃんで、その里英ちゃんが言うならそうなんだろう。

私は前田芽衣だけど、今は薄紫の髪の毛が綺麗なお人形みたいなメリアーナなんだ…。


残念なような、納得したようなため息が出る。


「…階段であなたは婚約者から肩を掴まれて後ろに倒れてしまったの。体は大丈夫?痛いところはない?」


「肩と腕が少し痛い。って婚約者!?付き合った人もいないのに!」


「だからそれは芽衣の時の話でしょ」


「15歳で婚約者がいるなんて!しかもソイツに掴まれて倒れたの!?婚約者なのに?」


なんてこったい!!


「そう。私は近くをたまたま通りかかったのよ。何か話かけてたみたいだったわよ。で、あなかが倒れたのを見てそのまま逃げたわよ」


「なんてヤツ!!最低だな!!」


何でそんなヤツが婚約者なの?


「とにかく、先生を呼んで来るわ。いい?まだ混乱してるだろうけど、今のあなたはメリアーナ・クリスク公爵令嬢よ。何か聞かれても分からない事はお嬢様っぽく誤魔化して!私もフォローするから」


「う、うん」


お嬢様っぽく!

今は日本人の庶民だった記憶しかないのだが…。

で、できるかな…。


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