7 真実

「姫子…ごめんな、俺のせいで。」

「大丈夫よ。でっ、どうしたの。」

「俺は、正直に言ってお前に正しいことを何も話していない、つまり今までのはうそだ。」

「なんで?あなたは裕福な家庭で育って、幸せだったんじゃないの?」

「俺は、正直に言って貧しかった。」

「なんで?」

「俺は、2000年、ちょうど22年前に長野県の富士見町というところで生まれた。」

「それで?」

「俺が一歳の時、父と母が離婚した。」

「なんで?」

「父が、ギャンブルで多額の借金を母に背負わせ、俺に暴力をふるって、外で女を作ったからさ。」

「それで?」

「父と母が別れるとき、俺は母親に引き取られた…だけど父は一年後に死んだ。」

「なんで?」

「父は、サッカーワールドカップの開会式を見た帰りに、バイパスの横断歩道で通りすがりの女性に酒の勢いで声をかけたらしい。」

「それで?」

「その日は雨が降っていて、父は、女性ともめたはずみに地下道に落ちて車にはねられた。そして、玉突き事故が起きたんだ」

「お父さんは?」

「死んだよ、あっけなく。」

「そのあと、母は?」

「鬱になり、借金取りに殴られ、入院した。そして、俺は施設に入れられた。」

「なんで?」

「俺は、その時身内がいなかったからさ。」

「そんな…ひどすぎる…」

「仕方ないさ、…もう俺は生きられない。君に無理強いさせたからな」

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